脱泡とセラミックスの密度の測り方~実践~

脱泡とセラミックスの密度の測り方~実践~

本日のお話も「脱泡と密度の測り方」です。

前回の話を要約すると、「チーズの密度を測るのは大変」だからやって紹介しましょう! です。

というわけでスタートです。

 

<用意するもの>

・チーズ(試料です)
・純水
・ビーカー
・真空脱泡装置(下図)

・密度測定器

 

<手順>

①ビーカーに純水を用意し、試料を入れる。
②真空脱泡装置に試料をセットし、真空引き開始。
③30分真空脱泡を行ったら、大気圧に戻す。
④水中重量、乾燥後重量を測定
⑤算出

簡単に書くとこんな感じです、写真を含めてみていきましょう。

 

①ビーカーに純水を用意し、試料を入れる。

入れるだけです。

 

②真空脱泡装置に試料をセットし、真空引き開始。

しれっと“真空”“脱泡”という単語が出てきましたが、簡単に言えば、“真空”状態にすることで試料の空孔に入った空気を追い出し(“脱泡”)、空孔内を純水に置換する。

これによりチーズの穴に入っているものは全て“水”と考えることができます。

ちなみに真空状態なんて作れない! ということでしたら煮沸でも脱泡は可能です。

 

③30分真空脱泡を行ったら、大気圧に戻す。

大気から0.9MPaほど引いていますね、この状態で30分。

こんなに泡が出ています。

 

④水中重量、乾燥後重量を測定

この装置で水に沈めたときの重量を測ります。

測定後は水分をきれいに飛ばし、乾燥重量の測定です。

水中→乾燥の順番なのは、試料が湿気を帯びている可能性があるためです。

 

⑤算出

データが揃いましたので、計算します。

計算はアルキメデスの原理で考えます。アルキメデスの原理とは…
http://www.wakariyasui.sakura.ne.jp/p/mech/pas/huryoku.html

要は、ある物体を水中に沈めた時、押しのけた水の重量分、物体の重量が軽くなるということになります。

水の比重は1なので、この軽くなった重量はそのまま体積と置き換えられます。

つまり、式はこうです。

試料密度=W1/(W1‐W2)×水の密度

W1:乾燥重量

W2:水中重量

 

これで、めでたく穴だらけのチーズの密度が測定できます!

長々とお付き合いいただきありがとうございました。

初めてまともなことを書いて、間違いがないかとても心配なねねでした。


創業40年の製造業。ダイヤモンド事業からスタートしたテクダイヤは、会社本来の「人好き」が作用し、人との出会いを繰り返しながら業態変化を続ける。 現在はセラミック応用技術・精密機械加工技術・ダイヤモンド加工技術をコアとしながら先端技術のものづくりを支える。スマホやデータセンターなどの通信市場、更にはNASAやバイオ領域にも進出中。