総務部経理が不具合品の投入を判断している中国工場!!(その2)

総務部経理が不具合品の投入を判断している中国工場!!(その2)

ある日系中国工場で品管部に投入可否を仰いでいた不具合材料について、総務部の中国人経理が投入指示をしたというのを前回書きました。

どうして品管部ではなく総務部経理に判断を仰ぐのか?

読者のみなさんもおかしいと思ったことでしょう。

まったくその通りです。ここにこの工場の問題点が潜んでいるのです。

 

問題を整理してみます。

  • 加工工程で材料の品質確認をして異常を発見した。→OKですね。
  • そして、品管部に使用可否判断を求めた。→OKですね。
  • 品管部はテストの実施、使用保留指示を出した。→OKですね。
  • 保留材料は、しっかり識別保管されていた。→OKですね。
  • 材料の表面状態が変わったことで、投入可否を品管部ではなく、総務部経理に求めた。→ここがNGですね。

この工場の職務分掌を見ても、総務部のこの経理に品質問題を判断する権限はありません。

なぜこの経理に判断を仰いだか。その背景をきちんと見て対処することが必要です。

 

実は、この工場ではこの経理に中国人の労務管理を任せており、中国人従業員には睨みが利く存在でした。

また、コスト意識も高く、経費や材料のムダにも目を光らせており、材料歩留りの改善などを工程に求めるなどしていました。

このような存在だったので、段々と判断の範囲が広くなり、従業員もこの経理に確認しないとものごとを進められないと考えているようになっていました。

この工場では、権限と指揮命令系統がおかしくなっていたのです。

これを放置すると、会社のルールがないがしろにされ、やがて大きな問題を引き起こすことになるのです。

こうした事態が発生した事実を総経理が知ることになり、この経理が品質に関わる判断はしてはいけないないことが確認されました。

このあたりのコントロールを日本人総経理がきちんとできれば、指揮命令系統が乱れることはなくなります。

 

出典:中国工場での品質管理・品質改善


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/