現場で食事をしてもOK?
ある日系工場に通っていたときのことだ。この工場は自前の食堂はなく工業区の中に誰でも使える食堂があり、多くの作業者はそこで食事をとっていた。
会社から食事代の補助は出ており、食堂の価格よりも安く食べられるようにしている。現場の作業者は全員残らず外の食堂で食べていると思っていた。というか特に食事については、気にしていなかった。
通い始めてから何回目かのとき、現場での確認が長引き昼休みかかってしまった。確認を終えた後、現場を通って事務所に戻る途中で、作業者が現場の自分の持ち場で食事をしているのを見た。
当然現場には仕掛りの部材があり、それらのすぐ近くで食事をしていた。最初に見たときは「危ない」という印象と、「何で?」という疑問が湧いてきた。疑問というのは、「どうしてこんなことが許されているのだろう?」というものだ。
今日のポイント
現場で食事をすることが許されていたわけではなく、食事をしてよいとも悪いとも決まりがなかった。いってしまえば、工場トップがその事実を知らなかったのだ。
トップもまったく食事については気にしていなかった。全員、外の食堂に食べに行っていると漠然と考えていたようだ。このトップはよく現場に足を運んでいる人であったが、昼休みに現場に行くことはなかった。もし、気が付いていたら何らかの対策を取っていたと思わる。
もうひとつ問題と思ったのは、現場の班長や生産の責任者は作業者が現場で食事をしているのを知っていたことだ。それを問題視できないことが問題であった。食事を仕掛部材にこぼしたらどうなってしまうのだろうとか想像力を働かせて、自分たちで対応を考えて欲しかった。
事実がわかったので対応しなければならない。トップは禁止にするにしても食べる場所を確保してからでないとといっていたが、ローカルの総務担当経理に相談すると、即禁止のお触れを出した。このあたりは日本人が考えるよりローカルスタッフに対応させた方があっさり、ばっさりとやれるということだ。
補足
この時期新規顧客の工場監査が予定されていた。その顧客に現場での食事を目撃されたら、印象が悪いだけでなく管理レベルも疑われてしまう。
わたしがいた会社の台湾工場での大昔の話であるが、工場内に売店があり台湾の人が大好きな干し梅も売っていた。あるとき製品から梅干しの種が混入されているのが見つかった。そう売店で売っている干し梅の種だ。
これ以降、現場に食べ物を持ち込む、食べることは禁止されたのはいうまでもない。