湿度について考えてみた~相対湿度、測定方法、絶対湿度について~
秋から冬への季節の変わり目を唇で感じている今日この頃。
感覚的に乾燥してきたので湿度が低い、と感じていますが
この湿度とは、また湿度何%とはいったい何なのか考えてみたいと思います。
湿度が低い
今年はコロナウィルスに散々苦しめられていますが
さらにこの上 “インフルエンザの流行” なんて事にならないように
しっかり予防したいと思っています。
予防のため加湿器を使っている方も多いと思いますが
この湿度とか湿気とはなんでしょう。
昔、湿度の影響を受けやすい製品を作る時には
夏場と冬場で条件を変えて、夏条件・冬条件として運用するなんて話を聞いたことがあります。
唇が渇いてきたらそろそろ冬条件に変更、という感じです。
夏と冬でいったい何が変わるのでしょう?
相対湿度って何?
部屋の温度と湿度を 『 25℃ 50%RH 』 という表記をよく見ます。
この湿度の単位 %RH とは何でしょう?
RHは Relative Humidity の略で相対湿度を意味します。
この相対ですが、では何と比べているのかというと
ある温度で水は一定の水蒸気圧を持ちます。
水蒸気圧とは水が蒸発して気体の水蒸気になろうとする圧力です。
少し正確に表現すると
液体の水と気体の水蒸気が存在する状況で平衡状態に達した時の水蒸気の圧力
です。
この時の水蒸気圧を飽和水蒸気圧と言います。
水は水面から常に蒸発しており、同時に空気中の水蒸気は水に戻っています。
この蒸発する速度と凝縮する速度の差が水蒸気圧になります。
温度が高いほど蒸発速度が速いため飽和水蒸気圧は高くなり、水は水蒸気になろうとします。
湿度 %RH は飽和水蒸気圧を100%とした時に、その何%なのかを表しています。
相対湿度50%RHなら、その温度での飽和水蒸気圧の半分ということになります。
相対湿度の計算
上の図は水の飽和水蒸気圧のグラフ(100%RHの青い線)です。
温度が高いほど飽和水蒸気圧は高くなっています。
(今は単位にmmHgではなくhPaを用います)
例えば
①気温35℃、湿度50%RHの時の水蒸気圧はどれくらいになるかというと
先ず、35℃の時の飽和水蒸気圧はグラフから42.2mmHgと分かります。
次に相対湿度50%なので、水蒸気圧は 42.2x0.5=21.1mmHg となります。
これは23℃の飽和水蒸気圧とほぼ同じです。
この場所に23℃以下の物を置くとその表面では飽和水蒸気圧を超えてしまうので水に戻ります。
暑い日にコップの表面に水滴がつく『結露』という現象です。
②14℃、100%RHの時はどうなるでしょうか。
14℃の時の飽和水蒸気圧は12mmHgなので、100%RHの水蒸気圧は12mmHgです。
これは25℃の時の相対湿度50%RHとほぼ同じです。
実験室の湿度を調整する時はこの方法を使います。
夏場の湿気を含んだ外気を冷却して14℃、100%RHの空気にします。
この空気を25℃に温めれば、25℃、50%RHの空気を作ることができます。
(冬場は元々の水分量が少ないので、14℃にしても100%RHにならないので加湿が必要です)
※夏は高温多湿、冬は低温低湿の地域の場合
湿度の測定方法
湿度の測定には色々な方法がありますが
最も基本的な方法として乾球湿球方式があります。
室内の温湿度計で、温度計が2つ並んで付いているのを見たことはないでしょうか。
片方は普通に気温を測定していますがもう片方にはガーゼが被せてあり、水に濡れています。
気温を測定している温度計を乾球、濡れている方を湿球と呼びます。
湿球の温度は湿度に応じて乾球より低い温度を示します。(相対湿度100%RHの時は同じ温度)
これは、水は蒸発する時に気化熱と呼ぶ熱量を奪っていくためで
湿球の周りの水が蒸発するとその分湿球の温度は下がります。
汗が乾いて体の表面温度が下がるのと同じです。
湿度が低い時には水がたくさん蒸発するので湿球の温度はより下がります。
といことは、乾球と湿球の温度の違いからその時の湿度が分かるはずです。
右の表は乾球の温度と湿球との温度差から湿度を求めるものです。
乾球が35℃、湿球が30℃の時の湿度は
表の乾球温度35℃と温度差5℃の所を見て湿度 68%RH となります。
耐湿試験槽内の湿度測定にもこの方法が使われています。
電源も必要ない簡易な測定方法です。
乾球湿球方式の他にも髪の毛やナイロン糸を使った伸縮式や
電気的なセンサー(吸湿による静電容量の変化や導電率の変化から求める)を用いた物があります。
絶対湿度
湿度を表す時に、相対湿度の他に絶対湿度を使うことがあります。
これは1立方メートルの空気中に何gの水が存在するかを意味していて
容量絶対湿度と言い、単位は g/m3 です。
実験ではこの値を使うことがあります。
加湿しましょう
これから冬にかけて、部屋を暖めるだけで加湿しないと相対湿度が下がってしまい
唇がカサカサするだけでなく、のどの粘膜が乾燥して線毛の動きが悪くなります。
線毛は外から入ってきた異物・外敵を体の外に排除する働きをしていますので
線毛の動きが悪いと風邪をひきやすくなります。
しっかり加湿してこの冬を乗り越えていきましょう。