日系中国工場!(その2)

日系中国工場!(その2)

今回は、日系メーカーの中国工場(その2)です。前回の続きとして、各工程の管理状況をみてみます。

 

1. 成形工程

5〜6tonの成形プレスが、40台ほど整然と並んで作業していました。ここでの管理ポイントは、成形体寸法と重量です。寸法は、焼結すると収縮するので、成形工程ではそれを見込んだ寸法となります。

重量も重要で、寸法が問題ないとするとこの重量で比重(密度)が決まります。これで機械的強度が左右されます。

また、この焼結部品は、必要に応じて後で油を含浸します。その含浸させる油の量は、密度で決まります。このあたりの管理は、きちんとできていました。

 

2. 焼結工程

焼結には、連続炉を使用しています。炉内の雰囲気も大気ではなく、不活性ガスを流入しています。この工程では、炉の条件管理(温度、雰囲気、焼成時間)が重要です。この辺の管理は、日系企業であれば大抵きちんとできています。この会社も問題なく、管理されていました。

ここで意外と大事なのが、Lotのトレースがきちんとできるかです。他の工程は、製品と例えば製造管理表とかは、一緒についていけますが、焼結工程は燃えてしまうので一緒にできません。

次々炉に投入していくその製品のLotを、追跡できるようにしなくてはなりません。これに関しても、きちんとトレースできるようになっていました。

 

3. 加工工程

焼結体を加工する工程です。ここで最終寸法が決まる重要なところです。特に孔径は、ミクロンオーダーの厳しい管理が要求されています。

ここでは、孔を加工するピンと出来上がった孔径の管理が必要です。ピンは非常に磨耗が早く、磨耗すると孔径が変わってきます。常にウォッチして、その変化を把握できる体制を取っておく必要があります。これに関しても、しっかり管理できていました。

このように工程での管理は非常によく行なわれている会社でした。

 

そんな中で、さらによくなるように指導した内容があります。それは、工程検査の統計的活用による不良率低減へのアプローチです。

検査データは取っているものの、その活用が不十分でした。次の段階に進むためには、必要なことです。

出典:中国工場での品質管理・品質改善


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/