日系ネジ工場の工程不良対策に?
今回は、日系ネジメーカーです。
総経理や技術者など全部で5人の日本人の方がいました。従業員は、60名ほどですから従業員の約8%が日本人ということになります。多いといわざるを得ません。製品は、主に圧造軸や小さなネジです。
工場は単独で建っているのではなく、ある区画に何棟かの標準工場が建っていて、その中の1棟に入っています。しかも、1棟丸ごとではなく、2フロアーだけを借りています。
このようなパターンは、比較的規模の小さい企業でよく見られます。中国に進出するのは、大きな企業だけではありません。日本の中小企業もたくさん中国に進出しています。そんな小規模企業でも進出できるように、集合住宅的な工場の形態もあります。
稼動は2交代の24時間稼動となっています。班は固定ではなく、昼班と夜班を一定期間で交代しています。会社によっては、昼班/夜班を固定しているところもあります。
生産工程は、次のようになっています。
- 線材のカットおよびネジの頭の部分(ヘッダー)の成形
- ネジ切り
- 表面処理→これは外注です
- 検査(外観の全数検査も行なっている)
- 梱包
となっています。
この会社はネジやさんですから、ネジを作るノウハウや技術はお持ちです。しかしながら、そのネジ作りに関する部分で改善しなければならない点がありました。
ネジ作りで改善が必要な点は、次の2点です。
1. ネジのヘッダーに十字を切るのですが、その十字の位置がずれているものの改善です。この不良率が、0.8%ありました。問題だったのは、これの対策が検査強化となっていたことです
2. ネジ切り部の寸法の不良です。この不良率も0.8%ありました。同じように問題だったのは、この対策も検査強化となっていた点です
これら不良が顧客に流出してクレームが多発しているのであれば、先ず検査強化することは理解できます。わたしでもそうしたでしょう。
しかし、工程不良率を下げて=歩留りをUPして利益率を上げていくことが目的とすれば、ポイントが合っていません。
顧客への不良流出という点で見ると、不良率を下げることは、間違いなく結果として顧客への不良流出が減少します。ですから工程で作り込みをして、不良を作らないことが最大の不良流出防止策といえます。
このあたりの説明をして、基本となる原因の分析から始めてもらいました。日本ではこんなことは考えられないと思いますが、中国では現地スタッフに不具合対策を作成させて、工場TOPの日本人の方が詳細を確認しないで、進めていることがたまにあります。
理由としては、中国に赴任された日本の方の業務範囲は、多岐にわたって細かいところまで見きれないのと、現地化の名の下に現地スタッフに任せた方が楽というのがあります。