日本と中国の企業文化について
同じく「中国の企業文化」を検索すると「996制度」「有給なし」という言葉が出てきます。
集団主義と個人主義
日本人は自分が属する組織や集団を優先する傾向があり、中国人は個人を優先する傾向があります。一般的な日本企業では、社員を個人という存在ではなく、組織の一員として位置づけており、全員で協力して仕事を進めていく集団主義を重視します。一方、中国ではたとえ組織の一員だとしても、一人一人の能力や成果を最も高く評価します。「個人主義」の考え方が浸透しています。協調性や和を大切にする考えを持つ日本と、個人レベルでのパフォーマンスを大切にする中国の大きな違いはここにあります。
また、日本企業では能力を持っている者でも入社してすぐには重要な仕事は任されず、基本的な仕事しかさせてもらえません。中国人は仕事の最終目的は「お金を稼ぐこと」だと考えているので、自分の能力を全面的に売り、若くても責任ある仕事を任せてもらえます。基本的な仕事のみでは給与が上がらないため、能力のある者は条件のいい仕事が見つかれば、すぐに転職してしまいます。
残業問題
従来の日本企業は残業が多く、夜10時ぐらいに退勤することも当たり前でした。さらに遅くなれば、会社で一晩を明かすこともあったそうです。近年では、ワークライフバランスを実現する為に、働き方を見直し、残業を削減する努力を多くの企業がするようになりました。これにより、日本の社員はプライベートの時間をゆっくり使えるようになりました。
一方、昨今の中国では「996」が蔓延しています。「996」とは一体何かといいますと、朝の9時から夜の9時まで、週6日間、72時間仕事をすることを指します。中国人はお金を稼ぐことを重視するので、残業代がもらえるなら、特に気に留めません。しかし、多くの大企業は残業を認めず、残業代が出ないことがほとんどです。それなのに、なぜ中国人は働き続けるのでしょうか?
一つは、大企業というブランドを捨てたくないからです。中国では「面子」という文化があり、日本同様、大企業に勤めていれば個人の価値が高まるという考えが根付いています。加えて、基本給が中小企業より高いため、なかなか転職に踏み切ることができません。企業側もこれらを熟知しており、「996は若者にとって成長するチャンスである」とまで言っています。
まとめ
中国と日本、両国での仕事経験がある私からすると、日本は集団主義を重んじすぎていると感じます。チームで仕事を進めることは不可欠ですが、仕事範囲が限定されすぎては個人の成長が鈍くなります。若者や個人により責任のある仕事を託してみるのもいいと思います。そして、成果に応じて給与を多く支払うなど、優秀な社員をつなぎとめる対策も同時に考えなくてはいけません。
反対に、中国は日本の和の文化を見習った方がいいと思います。縦と横のつながりを強め、個人の能力を生かしつつ、チーム全体で同じゴールを目指すことができれば、より成果が上げられると考えます。そのための「飲みニケーション」などを取り入れてもいいと思います。