日常点検記録の班長確認はハンコじゃなきゃだめ?

日常点検記録の班長確認はハンコじゃなきゃだめ?

以前ある日系工場で工場の実態調査をしていた時のこと。いつものように工程でするべきことが確実に行われているかを見ていた。

ある工程で設備の日常点検の記録を見せてもらった。作業者の実施記録はしてあり、班長の確認記録もしてあった。しかし、この班長の確認記録にちょっとした問題があった。

班長の確認記録は班長のフルネームのハンコが押されていた。ところがスペースの関係からか、ハンコが3日分にまたがって押してある。つまり、班長の確認は3日に1回しか行っていないことになってしまう。班長に聞くとハンコは3日に1回だが、点検の実施有無は毎日確認していると言っていたが。

 

別の工程では班長が個人的な理由で長期休暇(出産休暇)を取ったので、新しい人が班長に昇格した。ここでも日常点検の記録を見せてもらった。作業者の実施記録はしてあり、班長の確認記録も毎日ハンコで押してあった。でもここでもちょっとした問題があった。

押してあった印が産休で休んでいる前班長のハンコであった。新しい班長に話を聞くと自分のハンコがまだ出来ていないので、前班長のを使ったとのこと。

今日のポイント

確認の記録方法を直せばそれで済む話ではあるが、なぜ最初の班長さんは枠に収まらないからと言って3日分にまたがってハンコを押していたのか? 後の班長さんはどうして休暇中の前班長のハンコを使っていたのか?

この班長さんたちは確認の記録はハンコでないといけないと思っていたのだ。手書きのサインではダメだと思っていたのだ。それゆえに、枠に収まらないハンコを無理やり使い、いないはずの班長のハンコを使っていた。サインでも問題ないと教えて即日実践してもらった

この工場は比較的記録類も整備されており表面上は問題がなさそうであったが、今回の班長の確認記録を見ると本質的な教育が不足している、できていないと感じた。

記録もなぜ付けるのか、その付けた記録で何をするのか、こういったことがきちんと理解されていれば班長の確認に求められているのは、ハンコによる記録ではないことはわかってもらえるはずだ。

補足

今回の問題も班長さんたちが悪いのではない。きちんと教えていない方に責任がある。

出典:中国工場での品質管理・品質改善


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/