意外に深くまでは知らなかった職場環境

意外に深くまでは知らなかった職場環境

みなさんはどんな部屋で仕事をしているでしょうか……。

見晴らしの良いオープンスペースに洒落たインテリアのあるオフィスや、よくドラマ等で見る、グレーの絨毯に職員机が並びあうオフィス。

世の中には、様々なオフィスがあると思います。今日は、僕のオフィス(職場環境)について記載したいと思います。

 

2014年の夏、新入社員の私は、フィリピンにて赴任前の研修を行うことになりました。

目的は、フィリピンでの生活や、何をどのように製造しているかなどを見学するためでした。

「自分の職場環境はどんな素晴らしいオフィスなんだろう」と、いざ現場に行くと、それは目の部分しか露出していない、宇宙服のような作業服を着た隔離環境でした。

 

半導体製造工場ではその環境が重要であるとの事で、通常の環境との違いについて調べてみました。

大きな違いは宇宙服、エアーシャワー、床のタイル、椅子、机、リストバンド等。

クリーンルームには「ホコリを持ち込まない、ホコリを出さない」という基本ルールがあり、全てはホコリ(パーティクル)の製品への付着を防ぐためのものでした。

 

ホコリを持ち込まないための対策として、静電気防止(ESD対策)がこの根幹にあり、静電気防止はホコリ対策だけではなく製品への電気的なダメージを防ぐ要素もあります。

クリーンスーツ(宇宙服)は普通の布ではなく、糸ホコリが出ない素材で作られており、静電気が逃げるように特殊な糸が縫い込まれています。

エアーシャワーは「ホコリを持ち込まない」ために入室前に全てのホコリを吹き飛ばすための設備。

 

床のタイルは導電マットと呼ばれ、静電気はこのマットを通り抜け、その下に張り巡らされている銅線に集められています。机や椅子は帯電防止の特殊なマットや布で覆われています。

室内の空気は湿度40%〜70%、温度25℃±2℃に保たれており、乾燥による静電気の発生防止。

室温は人体からの発汗によるナトリウムの製品付着を防止するために管理されています。もちろん化粧は禁止、普通の紙やノートも持ち込み不可。

 

このような厳格な管理のもと、クラス10,000のクリーンルーム内では0.5μmのホコリが

1立方フィート内に10,000個以下に保たれております。

半導体ディバイスというのは、このような環境管理のもと大切に製造されているものであり、絨毯だのオシャレなテーブルよりも私の職場であるクリーンルームに価値を感じました。

 

第4生産技術 仁田


創業40年の製造業。ダイヤモンド事業からスタートしたテクダイヤは、会社本来の「人好き」が作用し、人との出会いを繰り返しながら業態変化を続ける。 現在はセラミック応用技術・精密機械加工技術・ダイヤモンド加工技術をコアとしながら先端技術のものづくりを支える。スマホやデータセンターなどの通信市場、更にはNASAやバイオ領域にも進出中。