工場監査での指摘は相手の処理能力を見て決める!?
駐在員時代は購入部材の品質確保を仕事にしていたので、仕入先の工場監査は数多く行った。もちろん自分一人ですべての仕入先を回れるわけではないので、他のスタッフ(日本人、中国人)が行くこともある。
この工場監査に、監査するスタッフの性格が出てしまう。工場監査を行うとよほどの会社でない限り何らかの問題点や改善すべき課題が見つかる。大きな問題からちょっとしたことまで。
ある若手(といっても30は過ぎていた)が台湾系企業の工場に監査に行った後の報告書を見たら、およそ40項目の指摘をして、その全てを直せと先方に要求してきたと書いてあった。
40項目も指摘するものがあるということは、その工場のレベルがまだこちらの要求するレベルになっていないことに他ならない。早急にこちらが満足できるレベルになってもらわないと困るということである。
今日のポイント
これを見たときにこの会社とよく今まで大きな問題もなく取引ができていたなと思った。また、果たしてこちらの要求内容に対応できるのだろうかとも思った。
この要求に対応するには相当の工数がかかることは容易に想像できる。やろうとすると他のことは何もできなくなるとも思った。対応するにしてもいっぺんにはできないので順番にやることになる。
懸念されることがあったので監査を実施した若手と話し合った。若手も厳しい要求であることは十分理解していたが、このままではまずいという想いが優先して気がついたすべてを指摘項目としてその改善を求めたということであった。
ただ先方の処理能力を超えているのもまた事実であったので、40項目に優先順位をこちらで付けて段階的に分けて対応してもらうようにした。早急に改善してもらわなければならない項目を第一段階としたことはいうまでもない。
わたしがいやだったのは、先方が対応する順番とこちらが先にやって欲しい項目がずれることであった。言い方は悪いが先方に順位付けをする能力はないと判断していた。
工場監査で気がつくことはたくさんあると思うが、いつもそれを全部相手に言えばよいということではない。相手のレベルに応じて、相手ががんばれば対応できる範囲でやることも必要である。
補足
決して取引先を甘やかすということではない。いかに早く改善を進めてもらうか、それも重要なものからやってもらうための手段と考えている。
相手の会社のことを考えているようだが、実は自社のためということだ。