定着率が違う理由は??

定着率が違う理由は??

ある中国工場でのことです。

 

新しく造成された工業区にあるため市街地から離れているため
立地条件としてはよくありません。
そんなこともあり従業員の定着率がどんなものか気になりました。
もっとも、どの工場に行っても従業員の定着率は聞きますが。

 

工場の生産部の責任者に聞くと、なんと離職率は50%にもなると言う。
驚いて全部の工程でそうなのか再度聞いてみた。
するとA工程では50%だが、B工程とC工程では5%程度だと言う。
この違いはいったい何でだろうか?と思った。

 

簡単に工程の状況を説明すると、
A工程:工場の1階で行っている1次加工。ここに空調設備はなく、夏は暑い。
機械加工のため音も大きい。

 

B工程:工場の2階で行っているアッセンブリ工程。
ここは空調設備があり夏も快適。音もうるさくない。

 

C工程:別建屋の1階にある最終組立て梱包工程。
ここに空調設備はなく夏は暑い。
穴あけ加工をすることもあるが、音はさほど気にならない。

 

生産部の責任者が言うには、A工程は暑いし音も出るので作業者がすぐに辞めてしまうとのこと。

 

A工程とB工程を比べると確かに作業環境に大きな違いがあり、
それが定着率の一番の理由で納得できるところですが、
C工程と比較すると音の違いはあるものの作業環境に大きな差はありません。
それなのに定着率に大きな差が出るのはいったいなぜなのでしょうか。

 

ひとつヒントになったのは、C工程にはとても活気が感じられたことがあります。
作業者はきびきびとそして活き活きして作業していました。
訪問した日も暑かったのですが、そんなのは関係ないという雰囲気がありました。
A工程では、このような活気は感じられませんでした。

 

では、この活気の違いはどうして生まれているのでしょうか?
わたしは仕事のやりがいにあると感じました。

 

C工程は、最終の組立て作業をやっているので、
自分たちの作っているものがどのような形になって出荷されるのか、
お客さんのところに届くのかがわかります。

 

最終の形がわかるので、お客さんが使っている場面がイメージ出来ます。
つまり、自分たちの製品が世の中でどのように役立っているのかがわかります。
それが仕事に対するモチベーションになっているのではないでしょうか。

 

しかも、同じものをずっと作り続けているのではなく、
いろいろな種類の製品を組立てているので、余計にそう思うのだと思います。

 

出典:定着率が違う理由は??


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/