外観検査基準、時にはWスタンダードも必要??

外観検査基準、時にはWスタンダードも必要??

外観検査と寸法検査や特性検査との違いは、寸法や特性検査では図面や検査基準書に従いますが、外観検査の場合、検査員が自分の感覚とか判断基準をもっていることがある点です。

つまり、ものを見た時に自分自身の感覚を検査基準としてしまうことがあるのです。

どういうことかと言いますと、自分の感覚で「この程度の傷は許容できる」「この汚れの程度なら問題ない」などと基準化してしまう人がいます。特に頭のいい人ほどこの傾向が強くなります。

そうした個人の感覚は、初期教育の段階でリセットさせることをします。また、その個人が持っている感覚の違いを中国人と日本人というくくりで見ると、さらに大きく違ってきます。その感覚の違いに起因する外観検査の問題が起きることになります。

ある日本の会社では、同じ製品を日本と中国で販売しています。使用する部品は中国メーカーから調達しており、中国内の工場と日本の工場に納入されています。ところが、日本に納入される部品の外観で問題が多発していました。

状況を確認していくと中国メーカーの部品は、日本向けと中国内向けで品質に差がある訳ではなく、同じレベルのものが納められているようでした。それなのに日本では問題が多発しているのですが、中国内向けでは問題が発生していませんでした。

外観検査の基準はもちろんあります。同じ部品なので当然同じ基準です。しかし、状況から見て中国内でのみ通用する基準でとなっていました。これが問題の大きな要因でした。日本と中国では求める外観品質のレベルが異なっているのです。

通常は購入する部品の検査基準はひとつに統一されるものですが、この場合、割り切って日本向けと中国内向けで違う基準とするという考え方もありです。中国内向けでは問題が出ていないので、現在行われている検査基準でOKとする。日本向けは、日本の求める水準での検査とする。そうWスタンダードにするということです。

中国内向けまで日本が求める水準を適用させると、過剰品質を求めることになりコストに大きな影響がでます。

日本(人)と中国(人)との品質、特に外観品質に対する感覚の違いがあることは、認識しておく必要があります。

 

出典:外観検査基準、時にはWスタンダードも必要??


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/