偽物材料、その責任は?
前回ある加工部品の材料が違うものを使われていた事例を紹介した。これについてバイヤーのプロで「中国調達とものづくりの現場から」というメルマガを発行しているZhenさんからコメントをいただいたので、紹介します。
『今回の事例を読んだ読者の何割が、「だから中国人は信用できない!」と思い、悪いのは中国人だ、バイヤーに非はないと、考えるのでしょうか? あるいは自社の内作取り込みで、外注業者を蔑ろにした罰だ! と、発注側を批判するのでしょうか。
僕の視点からすると、誰が悪いかより、自社が損害を受けたか、否かです。当然損害を受けているわけです。では、なせそれを阻止できなかったのか? ってことです。
ある意味で、サプライヤー側の視点で考えれば、受注量が減っても、従来の利益を確保したいと考えるのは当然のことで、真っ当な形でその対策が進んでいることを確認するとか、アドバイスをするのが、永く付き合ってきたパートナーに対する視点です。
これはパートナーに対する感謝の気持ちとかいった善意でなく、自らを相手方の悪意から守る手法です。
ムラ社会の日本でなく、大陸で生き抜くにはこれくらいの冷徹さがないと……。すっかり、偉そうなこと書いちゃいました。すいません』
偉そうだなんて、そんなことはありません。いつもコメントありがとうございます。
今日のポイント
「自らを相手方の悪意から守る手法」。この視点が当時この購買部門に決定的に欠けていたといわざるを得ない。この視点を持っていれば、実践していれば、このようなことは防げたと思われる。
中国の会社と取引をするのであれば、何が起きても不思議ではないことを常々頭に入れておく必要がある。いや、そんなことはわかっていたつもりであったと思う。あくまで「つもり」だったのである。
「わかったつもり」になっていただけで、実際に起こり得る可能性の高いときに実践できなかったのだ。そうその会社の製品を社内生産に取り込んで相手の売上げの大半を奪う形になった、この起こり得る可能性の高い状況でやっていなかったのである。
補足
実はこの偽材料事件ですが、責任問題は不問に付されたそうである。