信頼性試験、故障解析、デバイス評価に役立つ書籍をご紹介
弊社商品に限らず、幅広い種類の電子部品、半導体デバイスを対象としたものを選択致しました。
最新の専門特化の物ではなく、むしろ歴史のある基本的な内容の物中心となっています。
信頼性試験、故障解析の書籍(古書中心。書店の本棚に納得のいくものがないときに)
1. 電子部品の信頼性試験
越川清重(著)
日科技連出版社
<内容>
・信頼性試験の意義と考え方
(統計的試験、非破壊試験、環境試験、耐久試験、寿命試験、加速試験等)
環境試験については世界の地域別温湿度限界値と試験条件の一覧表と地図も載っています。
・信頼性を阻害する故障現象
(熱拡散、クリープ、イオンマイグレーション、イオン汚染、振動と衝撃、静電気破壊現象等)
イオンマイグレーションについては起こす金属と起こす条件の表なども載っています。
・市場故障における故障の発生機構とその対策
複合環境試験の一覧表もついています。
・故障現象に基づいた信頼性試験方法
各種コンデンサや金属材料等の「部品・材料・現象」とn乗側、k度側、アレニウスモデル等の
モデルとの対応一覧表、市場故障データと試験データとの対応の求め方一覧、
主要部品の重要故障現象一覧表も載っています。
いきなり古い本からのご紹介ですが、日科技連の本だけあって良書です。
理論の説明と代表例だけ述べるのではなく、実例の一覧表があるのが良いところです。
また、付録として半導体デバイスの静電気破壊現象の確認方法やプレッシャークッカー試験(PCT)に
ついても記述があります。
2. 信頼性110番シリーズ デバイス・部品の信頼性試験
高久 清/山本 繁晴/柴田 義文/佐伯 輝憲/岩間 英雄(著)
日科技連出版社
<内容>
・信頼性試験の概要(信頼性試験の体系、キーポイント、関連規格等)
・信頼性試験の計画立て方(試験期間やパラメータの選び方、サンプルの工夫等)
・試験条件と実施上の注意
(温度測定の注意点、結露、熱衝撃試験と温度サイクル試験の違い、PCTの飽和と不飽和の違い等)
・加速試験とスクリーニング試験
(各種加速試験のモデル、条件の設定方法、スクリーニングの条件と期待される効果等)
・信頼性試験結果の解析
(劣化の解析方法、故障ゼロの場合、アレニウス則の活性化エネルギーの求め方、耐湿試験の加速性、べき乗側の係数の求め方等)
こちらも日科技連の本です。
こちらは上の本とは異なり、一応章立てしてありますが、一問一答形式で書かれており、
見出しから知りたいことだけすぐ見れる良さがあります。
3. 故障物理入門 – 保証科学の解析的アプローチ
塩見弘(著)
日科技連出版社
<内容>
・故障物理の説明、基礎概念
・物性科学と故障
・故障物理のモデル(ストレス強度モデル、反応論モデル、故障率モデル、再弱リンクモデル等)
・信頼性物理の技術
・加速寿命試験とスクリーニング(加速性、加速係数、寿命加速とスクリーニングの例等)
・信頼性物理の応用(装置、システムの故障予測、環境適用係数 Kファクター等)
1の本より故障の理論とモデルに注力した1冊です。
データ解析の書籍(サンプリングやバラツキの理論と実践をつなぐ1冊)
エンジニアのための実践データ解析
藤井 宏行(著)
東京化学同人
・平均とばらつき
(平均と標準偏差を求める目的、必要なデータ数、サンプル数と精度、正規分布のメカニズム等)
・正規分布にならないケースとその対処法
(負の数を取らない場合、ベクトルから求めたスカラー量、両側に壁がある場合、
時間と共に劣化する現象の表し方、再弱リンク説に基づく材料強度の分布等)
・分散分析(違いの分析)
・相関分析(関係性の分析)
・因果関係の分析(回帰分析と最小二乗法)
・複数要因の分析(重回帰分析)
データ解析関係の書籍の多くは「理論を説明してグラフ書いて例題出してお終い」ですが、この本は実際に現場から上がってくる「ばらつきを持った限られた数のデータ」「何らかの偏りのあるデータ」にどう対処すればいいか、求められた値はどんなものになるかをグラフを用いて説明してあります。「データ解析の基礎は習ったけど実務で対応するデータは偏りがあるし、サンプルも十分かどうかわからない」というときにお勧めの1冊です。
半導体デバイスの書籍(はじめての~系の本より一歩踏み込んだ1冊)
1. 半導体デバイス―基礎理論とプロセス技術
S.M.ジィー(著)
産業図書
<内容>
・固体物理学の基礎(結晶の定義、バンド理論、キャリアの輸送理論等)
・半導体デバイスの基礎
(p-n接合の基本的形成工程、空乏層、電流-電圧特性、接合の降伏、バイポーラトランジスタ、MOSFET、マイクロ波デバイス、光半導体デバイス等の動作、特性等)
各デバイスの直接的な動作、特性の解説だけでなくショットキー障壁/オーミック接触といった留意すべき関連事項にも触れられています。
・半導体製造プロセスの紹介(熱酸化、誘電体膜/ポリシリコンのデポジション、メタライゼーション、リソグラフィ、エッチング、ドーピング、シリコンウエハの製造法に至るまで幅広く)
Cu配線で使用されるダマシン法などにも軽く触れています。
簡単な本だとバイポーラトランジスタとMOSFETの動作原理を載せて終わりですが、フィールドトランジスタなど実際の回路上に発生する寄生トランジスタの解説まで載っています。半導体メーカーで2年働いて半端な理解とローカルな知識を得るよりこの本を読んだほうが勉強になると言っても過言ではないかもしれません。
文章や数式だけの本と違い、空乏層のひろがり、チャネルの動き等を電気特性のグラフ、素子の断面モデルを使って理解し易く書かれています。
2. タウア・ニン 最新VLSIの基礎
タウア・ニン(著)
丸善出版
<内容>
・デバイス物理の基礎
・MOSFETデバイス
・CMOSデバイス
・バイポーラデバイス
・メモリデバイス
・他
上記の「半導体デバイス」と違い、各種トランジスタの電気的な設計に注力して書かれた書籍です。