作業者教育で管理者を鍛える!!
中国工場の管理者に対する品質管理教育を実施してわかったのは、工場の管理者の多くは系統だった教育を受けたことがないこと。そのために言葉は知っているが、表面的な理解になっていることでした。
教育で必要なのは本質を理解させることだと改めて認識しました。
さて、管理者教育の次は作業者への教育です。どんなに立派なマニュアルがあっても、最終的には作業者の意識を高めなければ、品質は確保できません。
作業者への教育は、わたしが作業者に教えるのではなく、管理者に先生役となって実施してもらいます。
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■ 今日のポイント ■
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管理者に自分たちが受けた教育内容を今度は自分が作業者に対して教えてもらいます。これは管理者にとって、結構な負担になります。ここで言う負担とは、工数的な面もありますが大きいのは精神的な負担です。要するにプレッシャーになるということです。
読者の皆さんも経験があると思いますが、教育を受ける側はいたって気楽です。ところが、立場が変わって教える側に回ると、その準備、特に教える内容についてこちらがしっかり理解していないと相手には伝わりません。朝礼で注意事項を話すときとは、まったく違います。
支援している中国工場もようやく作業者教育の段階になり、管理者に先生として教育を実施してもらいました。先日その教育現場を見学しました。何人かいる組長(管理者)が交代で先生役をするので、その日はある1人の組長がやっていました。
一生懸命話しているのはよくわかりましたが印象的だったのは、その日の教育が終ったあとでした。組長は自分の机に戻るなり「ふー」と息をつきました。実は緊張していたことがわかりました。
組長の机の上には、彼が必死で手書きした原稿がありました。教育で話す内容を彼なりに必死でまとめて、原稿として準備していたのです。それを見たときは、組長の頑張りと管理者に先生をやってもらう狙いのひとつ見事にはまったことにうれしくなりました。
教育というのは、受ける側の成長も促しますが、それ以上に教育する側の成長を促すのですね。先生役を管理者がやることによって、管理者が成長すれば、前回も書いたように工場全体のレベルが上がることつながります。