作業者のレベルで品質確保の方法は違ってくる?!

作業者のレベルで品質確保の方法は違ってくる?!

前回、天津の工場作業者のレベルは、東莞やシンセンのそれに比べると低いという内容の話を書きました。ただし、決して作業者たちがさぼっているとかではありません。

生産しているのは鉄製の支柱で重量物です。1人では持つことはできず、2人で持ち上げてセットして加工します。それを彼らは文句も言わず淡々と作業しているのです。

彼らの作業を見ていると考えるということはしていません。言われたことを言われる通りに作業しているのです。指示をする管理者は彼ら作業者よりもはるかに若い年代の人間です。そうした若い人間の指示に従って作業しています。

言われたことをやっているならいいじゃないかと思うかもしれませんが、それは単に作業をするということに関してのことです。その作業に守るべき注意点があった場合、作業はしますが注意点を守るとは限らないということなのです。

製品の材質が鉄なので表面に溶融亜鉛メッキをしている関係で、やらなければならない作業の1つにメッキ外観の補修があります。メッキが剥げていたり、表面が汚れていたりした場合にスプレーで補修します。

表面の汚れなどは実際の使用には関係ないのですが、日本の顧客では汚れもクレームになります。ですから外観のチェックと補修はきちんとやらないとなりません。

その作業をずっと見ていたのですが、若い検査員がここを補修しろ、あそこを補修しろ、補修が終ったものはすぐには重ねてはいけないなどいちいち指示をしていました。しかし、その指示がないと作業者たちは補修が必要なところを補修しないで梱包しようとしていました。

これを見て思ったのは、作業指示書に注意事項を書き込んでもこの作業者たちがその通りに作業するのは無理だということです。通常は作業指示書に書き込んでそれに従って作業させるようにしますが、ここの作業者にはそれは難しいということです。

ではこのメッキ外観の品質を確保するにはどうしたらよいか。現時点では、管理者の監視の下で作業をするしかないと思います。

この作業者たちがどのような意識で作業をしているか正直知りたいと思いました。その上で、この人たちにも品質の大切さを話してみたいと思っています。

 

出典:作業者のレベルで品質確保の方法は違ってくる?!


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/