作業標準があっても細かいところでは違う!?
ある中小企業での話だ。その会社は自動車向け部品加工を主力事業の一つとしてやっている。
部品加工とは、材料を切断して穴あけタップを切る作業をしている。できる範囲で自動化はしているが人が機械について作業している。全自動化も検討したが、機種の多さや数量の関係を考えると全自動機を導入する方がコスト的に高くなることがわかったので諦めた。
求められるのは、出来高そして品質である。ここでいう品質とは、加工不良や未加工品を絶対に顧客に出さないことである。もちろん傷など他の不良項目もあるがこれらは社内での低減課題としている。
今回は出来高についての話だ。コストを下げるには時間当たりの出来高を増やすことが必要となる。この会社でもできる範囲の自動化に取組み出来高アップを図ってきた。
機械は何台かあり作業者も何人かいる。作業の方法は同じで作業標準書もきちんとある。でも当然といえば当然であるが、作業者によって出来高が違ってくる。
今まではその違いは作業者の質、素養の問題として仕方がないと思っていたという。
今日のポイント
あるときにその現場のリーダーが交代することになった。その新しいリーダーは非常に前向きで作業性を何とか上げられないかと思案していたそうだ。
そんなときにそのリーダーが行ったのが、各作業者の作業をお互いに観察することであった。早速それをやってみたところ、作業者それぞれが非常に感じることが多かったそうだ。
ある作業者は、他の作業者のよいやり方を取り入れた。するとそれは数字にはっきりと表れたのである。なんと、1日の出来高が1〜2%上がったのである。
効果がわかれば、他の作業者にも水平展開すればそれを会社全体として共有することができる。この話をしてくれたときのリーダーのうれしそうな顔が印象的であった。
作業標準はあっても、細かな部分では作業者ごとにやり方が違うことはよくあるというか当たり前である。そこの部分にまで踏み込んで違いを見つけると改善の糸口が見えてくることをこの例は示している。
補足
これは作業効率の面だけでなく、実は品質にも関係してくる場合もある。ちょっとした作業のやり方で品質の違いに出てくることもあり得るのだ。人によって品質の違う傾向があるようだったら、細かな作業まで突き詰めてみることも行う価値はある。
お互いに観察するといっても、作業者自身に向上しようという意識がないとただの見学会になってしまう可能性大である。
総経理・工場長のためのリーダーシップコーチング!
中国に赴任した総経理・工場長業務を全うするためのリーダーシップコーチングをやっています。
中国展開している企業にとって、中国工場の業績を向上させることは会社全体にとって非常に重要な問題です。その中国工場を任せている駐在員の総経理・工場長の役割は重大で、そのリーダーシップ向上が最重要課題といっても過言ではありません。
経営者は孤独とよくいわれますが、海外工場においてトップである総経理・工場長も孤独である点は同じです。駐在員仲間や部下には話せないことはたくさんあるはずです。日本人が1人という場合であれば尚更です。さりとて日本の本社に相談することもできません。
多くの総経理・工場長が日々苦闘しています。もちろんしっかり成果を出している方がいるのも事実です。その中には自分1人で苦闘せずコーチをつけることで成果を出している方もいます。
わたしはこのような立場の総経理・工場長が成果を出すためのリーダーシップコーチングをやらせていただいています。誰にも話せないことをコーチに話すだけで「どれだけ気が楽になったか」「やるべきことを一つ一つ整理でき進めることができた」といっていただくこともあります。
わたしは総経理・工場長が赴任先で活躍することに貢献したいと思っています。そして胸をはって本社に戻られるようになっていただきたいと思っています。わたしの中国工場経験がお役に立てると思います。