人類の仇敵・静電気との戦闘指南書【序章】
もうダメだ。本当につらい。
今年も小生史上最大の仇敵と言える奴が来る季節が到来してしまった。
奴は本当に忌々しい。油断した小生に死神の如く忍び寄り、悪魔の如き激痛と、阿修羅の如き憤怒を残していく。
そう、奴の名は静電気。
この記録は小生と静電気を巡る激しい怒りと憎しみに満ちた長き戦いの歴史である。
世には「袖すり合うも多生の縁」ということわざがある。
縁はすべて単なる偶然ではなく、深い因縁によって起こるものだから、どんな出会いも大切にしなければならないという仏教的な教えに基づく考えだが、小生は服の袖が何かと触れ合う度に奴と出会う。
それもかなり衝撃的というか電撃的な出会いだ。
その衝撃たるや、間もなく30になるおっさんが思わず「うんぎゃぁああああああああああああ!!!!」と涙ながらに吠え立てる程であり、奴との因縁は最早宿命とも言える関係となっている。
奴との出会いはそれ即ち戦争の幕開けを意味する。
ドアノブ、液晶モニター、ピンセット等の金属物。
日常の全てが一転して小生の敵となり牙を向けてくる。
疲れ果て腰かけた椅子であれ、それが金属製であれば要注意だ。
座った瞬間に文字通り電流が走ることになる。
言っておくが小生の場合、それは「パチッ☆」等と生易しいレベルではない。
奴は「バァッチィィィィイィイィッッッイイイ!!!」という激音と共にこんにちはーしてくる。
奴はそれこそ「やぁ、また逢ったね。最近調子どう?」というフランクな気持ちなのだろうが、そのフランクさが憎々しい。
思わずこの世からクーロン力が無くなればと呪わずにはいられない。
しかし、小生の辞書に敗北という文字は無い。
小生は奴を抹殺するために数々の静電気防止グッツを武器に果敢に戦いを挑んできたが、
奴への恨みで今回の字数が埋まってしまったため、その詳細は次回に記すことにしよう。
ドアを開ける時はドアノブの30cm上に手のひらを置き、滑るように落下させた後に、慎重に指を1本づつドアノブに沿わせてから開けるのが基本