中国進出で品質トラブル!
この会社は大手企業で事業部制を取っているのだが、事業部によってその内実は大きく違っている。ある事業部は立派で大企業の名に恥じない陣容を備えている。ところが、ある事業部はまるで中小企業のような陣容・体制である。
中国進出で品質トラブルを抱えたのは、後者の中小企業のような事業部が生産していた製品であった。
この製品は日本から中国に生産を移したのではなく、台湾で生産していたものを中国に移したものだ。当初は台湾にもお客さんがいたが、その内にお客さんはみんな中国に移っていったことで、ここも中国に生産を移管したといった経緯だ。
中国に生産を移管したが、その当初から不良が頻発・続発した。工場移管に対しては、同僚が工場監査を実施し承認をした。監査が甘かったという見方もできるが、工場移管は双方の利害が一致した決定事項であり承認しないという選択肢はなかった。
もちろん無条件での移管承認とはしていない。
今日のポイント
この工場の問題点は、生産の3要素(人、設備、材料)のうちの人であった。工場を管理できる人がいないのが最大の理由だ。
この事業部は中小企業並みといったが、つまりは人材が不足しているところが中小企業と同じということだ。
台湾で生産していたときは品質がよかったかというと、そんなことはなく品質的には満足できるレベルではなかった。台湾時代から工場を、現場を管理できる人がいなかったのだ。
それは日本本社に責任がある。管理できる人材を台湾に送り込んでいなかったのだ。もともと人が豊富にいる事業部ではないのでそうもいかないが、送り込んだのは新入社員に毛の生えたような人だった。
その人は、工場管理や現場管理のことなど何もわからない、知らない状態で送り込まれた。台湾で彼を指導し、育てることのできる人もいない。要するに勝手に育てという感じだ。
何年か経ったものの、彼はあまり成長することなく台湾の生産も品質もレベルが上がることなく時間が経っていったということだ。その彼が中国に生産を移管したのに伴い中国工場に来たけれど、状況が変わるはずもない。むしろオペレーター(作業者)が変わった分、悪くなった。
補足
台湾できちんとできていないものを中国に持っていってよくなる訳がない。根本的な体制の問題を解決することが必要ということだ。