中国工場・指示が伝言ゲームになっていた!
工場を立ち上げて2年の日系中国工場は、日本人総経理を頂点として、その下に同じく日本人の副総経理、中国人の工場長、部長、課長、主任、組長という階層になっています。他に顧問として技術指導をしている日本人もいました。
総経理が工場長に指示した内容は、工場長から部長へ、部長から課長へ、課長から主任にという具合に展開されていく伝言ゲームとなっていました。
この工場の伝言ゲームの問題点は、総経理の指示がきちんと主任、組長まで伝わっているか、指示された内容が確実に行われているかを誰も確認していないことでした。指示をした内容は、実施されるものと考えていたことです。
この工場は操業から2年赤字が続いています。赤字になっている理由は、不良の多発によるものです。不良の原因を大別すると、素材に起因するもの、工程管理に起因するものがありました。
工程の管理状況を調査した結果、ルールや規定は整備されていたのですが、そのルールや規定通りにやっていない作業や作業管理がいくつもあることがわかりました。そして、これが不良発生の大きな要因になっていました。
この工場では、ルールや規定を整備したことで安心して、それが守られ、その通りに作業や作業管理がされていると思い、日本人も中国人管理者も誰もチェックしていませんでした。
この会社は初めての中国進出で、総経理も他の日本人駐在員も中国での仕事は初めてでした。そんなこともあり指示すれば、それは実行されるものと考えていたようでした。
指示が伝言ゲームになり、誰も確認していないというのは、日系中国工場ではありがちなパターンです。特に細かい部分を中国人に任せきりにしていると、いつの間にか違うことをやっているということはよく起きています。