中国工場マネジメントは現状把握から!!

中国工場マネジメントは現状把握から!!

中国経験を買われて日系中国工場の工場長として採用されたAさん。

着任後、すぐに工場で気が付いた点を工場の中国人に改善するよう指示しました。

 

一見すると何が問題なの?積極的でいいじゃないかと思われた方もいるでしょう。

経験豊富な人ですから工場を見て回れば、いろいろな問題点が目につき、直さなくてはと考えるのはある意味当然です。

しかし、工場で働いている現地スタッフにとっては、今までやっていたやり方や方法をすべて否定された形になってしまったのです。

 

今までそのやり方をやってきたのには、何かしらの理由があるはずです。

そうした背景を理解・確認しようとせずに一方的にダメだから直せと言ったのです。

もの作りの基本は同じですから、Aさんの指摘は間違っていないはずです。

しかし、結論から言うと、工場スタッフから総スカンを食ってしまいました。

Aさんから指示があっても、その場は「はい、はい」とわかったような返事をして、実際はまったく指示に従っていない状況でした。

 

Aさんは中途採用ですから、その工場の製品や作り方、工程は初めてのものでした。

だから余計に今までやってきたやり方をよく見て、どうしてこのようなやり方をしているのかを確認する必要があったのですね。

最初はしっかり現状を把握することを行い、そのやり方をやっている理由を確かめ、そのうえでよくない理由を説明し、よりよい方法があることを話す。

このような手順が必要でした。

 

加えてAさんは、工場スタッフの立場や力関係も把握しないまま、直接現場スタッフに指示をしていました。

自分の頭を越された製造の責任者は面子を潰された形となり、以後Aさんに協力することはありませんでした。

現地スタッフのマネジメントにおいて大事なことのひとつとして、現地スタッフ同士の人間関係や力関係を把握することがあります。

中国に赴任する方は、ぜひ心しておいてください。

 

Aさんは、中途採用ということもあり、成果を急いでしまったということがあるようです。

会社からは、それを期待されているのですから、ある意味仕方がないかもしれません。

でも、急がば回れです。

何事も、状況を把握してから動かないと正しい打ち手は打てません。

 

出典:中国工場での品質管理・品質改善


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/