中国企業・品管部の役割は検査だけ?
ある中国企業では、トップが品管部にどのような役割を持たせるかで思案していました。
検査で不良品の流入や流出を防ぐという役割はもちろん当然ですが、それに加えて社内各部門がやるべき品質保証のための活動を品管部が統括する役割を担ってもらいたいと考えるようになりました。
現状この会社の品管部は、検査部門と言えるほどで検査以外の業務は出来ていませんでした。その理由のひとつは、トップが品管部の役割を明確にしてこなかったことがあります。
そのために全社の品質を統括するための体制が整っていませんでした。
一方で、検査関係の業務がしっかりやれていたかと言うと、そうでもありませんでした。検査に必要な人員が不足していたのです。
特に、仕入先に派遣する検査員が1人しか確保できておらず、必要と考えている仕入先に派遣できておらず、場合により管理者が行くことも少なくありませんでした。
中国企業では、自社の検査員を仕入先に派遣して、先方で検査をして良品だけを納入させることをやっている会社も少なくありません。中国企業は、仕入先中国企業の品質や検査を信用していないのです。
品管部の責任者から検査員増員の承認を求められたトップは、「検査員を仕入先に派遣しても不良品は入ってきている。果たして効果はどうなのか?」と言って、増員は認められませんでした。
品管部が全社の品質を統括するのは、いまや当たり前のことになっていますので、このトップがそう考えるのは自然なことです。
しかし、その体制を取るのは簡単なことではありません。役割を明確にすること、そして、それを実践する能力がある人材を用意しなければなりません。
この中国企業の場合、その前に検査体制を整えることが必要です。仕入先に検査員を派遣しても不良品が入ってくるから意味がないと判断するのは早計です。もし、検査員を派遣していなかったら、どうなっていたか?と考えれば、わかると思います。