中国人は日系企業と欧米企業どちらを好む?

中国人は日系企業と欧米企業どちらを好む?

一般的に言われていることだが、中国人が就職したい会社としては日系企業よりも欧米系企業の方が人気がある。

しかし、この情報も注意が必要だ。この集計がどういった層の中国人に対して行ったかで結果は違ってくるはずだ。

欧米系企業を好むのは、大学を卒業し野心に溢れ、自分自身に自信を持っている中国人ではないだろうか。

 

一般的には欧米系企業の方が中国人スタッフに権限を与えていると言われている。その分責任もはるかに重いが。

シンセンにある日系線材加工メーカーの総経理にこれに関する話を伺ったことがある。

この方は北京出身の中国人で、日本に留学しそのままこの線材加工メーカーに就職し何年も日本で頑張ってきたひとである。そして、中国の販売責任の総経理として母国に戻った。

 

北京にある欧州系企業はこんなやり方をしていた。

まず工場の運営はすべて中国人に任せている。董事長は母国(ドイツ)人がやっているが、たまにきて状況をチェックしていく程度だそうだ。総経理以下すべての役職は中国人が就いている。

そんな工場では結果がすべて。工場の総経理などの経営層は2~3年の短期契約となっているそうだ。給料は日系企業に比べれば全体にかなり高い。しかし、結果がでなければクビ(契約解除)である。

 

中国人をドイツの本社に半年とか1年行かせて研修をさせているそうだ。

技術に関しては全面的に開示をしている。また、技術者は本社から出張ベースで来て現地スタッフに教えている。

今日のポイント

この総経理によれば若い人はこういった企業を好む傾向にあるが、ある程度年を取ってくると中国人でも安定を求めるそうだ。

日系と欧米系、どちらのやり方がよいかは一長一短であろうとおっしゃっていた。

中国人スタッフ(作業者ではなく管理者)は、その会社で自分はどう見られているか、どう評価されているかをとても気にしているとのこと。

 

また、会社で将来どのポジションまで行けるのかも常に見ている。その会社で上に行けないと思えば(判断すると)他の会社に行こうと考えるそうだ。

一般に中国人はジョブローテーションを嫌う傾向にあると言われているが、これについては次のように言われていた。

「ジョブローテーションが自分の守備範囲が広がると思えば問題ない。逆に期待されていると感じることにもなる。」

補足

若い時は自分に絶対の自信を持っていてやってやろうと思っているが、結果を出せるのは一握りの人であろう。

結果を出せなかった多くの人は安定したポジションを求めることになっていくのではないかと思っている。

出典:中国工場での品質管理・品質改善


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/