中国ベンチャー企業訪問監査!(その2)
前回紹介した中国系ベンチャー企業の続編です。おさらいですが、この会社は純中国系です。場所は、北京市にあります。この会社は、純中国系ということですが、とてつもなく立派な会社です。
その親会社というか母集団は、中国学術院関係で、関連企業をいくつも持っています。最新の工法で金属部品を製造している傘下の一つの企業の話です。前回は、主に新工場についてレポートしましたので、今回は旧工場とメッキ工場についてお話します。
旧工場は、以前はここでメッキ以外の全工程がありましたが、今は焼結とバレルだけをやっています。先ず焼結工程ですが、正確にいうと脱灰と焼結の2工程に分かれています。ここで使用している炉はどちらも構造的には同じものと考えてよいと思います。同種の部品を製造している日本のメーカーとは、まったく違う炉でした。
同じ点は、ともにバッチ炉であることでした。中国メーカーが使用している脱灰炉は、高温で飛ばしたバインダー(樹脂)が、炉の外に排出されるのですが、その際に温度が下がり液化し、流れ出していました。そのせいもありとてもきれいとは、いえないものでした。
炉は自分のところで作ったと言っていました。炉のきれい・汚いはともかく、炉という設備を内作しているのはすごいと感じました。1台あたりの処理量が少ないので、炉を何十台と持っていました。炉が内作ですから、脱灰や焼結の条件もすべて自前で検討したことになります。
次にバレルです。これは普通のメディアを使った湿式のバレルです。バレルの作業しているところは、室内ではなくて、ただ屋根があるだけの屋外でした。バレル作業自体は、特に問題はなかったのですが、その後の製品とメディアを選別する作業に問題がありました。
メディアと製品を分離する機械があるのですが、分離したメディアに製品が残留していないことを確認せず、次に投入されていました。一般的には、メディアと製品の分離作業は、1度の作業ではなく、何回か行っています。そうでないと異品混入が発生することになるからです。
ではメッキ工場のレポートです。メッキ工場は、正確にいうと自社工場ではありません。外注の工場です。場所は、北京市の郊外にあり、メッキ団地の中の1つです。
中国もメッキの排水にとても厳しく、メッキができる地区を各地とも特定しています。排水にとても厳しいので、許された地域で新たにメッキ工場を稼動させる場合、その地域の役所の認可を取る必要があります。
実はとある日系企業が日本の最新の排水装置を導入して認可を申請しましたが、見事にダメを喰らいました。理由は、役人への接待が不十分だったためです。その企業もまったく接待しなかったわけではありませんが、段々とエスカレートする接待要求についていけなかったようです。
結局は、役人の知り合いの排水設備メーカーのものを購入させられて、やっと認可が取れたとのことです。話がすこしそれましたが、これもいまだ中国の実態です。
この北京郊外のメッキ団地にあるのは、ほとんど全部が国営系の会社です。1社1社の規模も小さく、建屋もいかにも中国という感じです。このメッキ工場では、機械化された工程はありません。すべてが手作業です。
メッキ槽に製品を入れ、揺動するのですがそれも人が2人掛りで行っていました。しかし、初回の訪問時にそれではダメだと伝えると、その揺動だけは、簡単な機械が行うようになっていました。
単独でこのメッキ工場を見たらすぐに帰ったと思いますが、違ったのはベンチャー企業のスタッフがこのメッキ工場を指導していたことです。この製品について高い技術を持っていると書きましたが、メッキについても研究をしていたことが判りました。
今日のポイント
管理については指導の必要がありますが、技術的側面は、ベンチャー企業に任せた方がよいと判断しました。今回は、中国の旧態のお話を中心にしました。