中国ベンチャー企業訪問監査!
この会社は純中国系です。場所は、北京市にあります。その親会社というか母集団は、中国学術院関係で、関連企業をいくつも持っています。今回は、最新の工法で金属部品を製造している傘下の企業の一つを訪問しました。この金属部品は日本でもありますが、この会社のものは、日本のそれの50〜60%の価格でできます。
最近新工場を建て、一部工程を残して新工場に移りました。1年前、最初に訪問したときは、メッキ以外は1つの工場で行っていましたが、これがいかにも中国の古い平屋の建物で、外観からはおよそ工場とは感じられませんでした。第一印象は、あまりよくなく思わず大丈夫かなと腕を組んだものでした。
現在の新工場は、とても立派でこの工場だけを見ると安心すると思います。また、旧工場に残したのは炉を使用している工程で、その炉からは熱をかけた時にバインダーの樹脂分が揮発し、排出され非常に汚れます。この工程だけを残したのは、そういった汚れを隔離する意味合いもあったように思います。
この会社はある分野の技術に特化したベンチャー企業です。技術責任者の方々とお話をしましたが、とても優秀でその製品の技術に関しても高いレベルの知識をお持ちでした。
しかしながら、ものを作るということに関しては、まだまだ経験不足です。量産を開始してからは1年半程度です。今まではとにかく習得した技術・工法でものを生産することで手一杯だったと思われます。
この工場/工程の特徴は、次のような点でした。
1. 成形工程があるのですが、日本では考えられない方法で行っていました。正直私も見るまでは信じられませんでした。しかし、このやり方こそが日本のメーカーには太刀打ちできない安い製品の主要因となっていました。
2. それぞれの工程に作業のやり方や方法を記した、所謂作業指導書/作業標準書がありませんでした。よくこれで生産をしてきたと思います。
このベンチャー企業への指導は、まず次の2点でした。
1. 特徴的な方法で行っている成形工程ですが、そこでの不良率が10%前後と非常に高いものでした。ところが、この不良品はまた成形しなおすことができるので、材料歩留まりには反映されず、現場の作業者も問題意識は持っていませんでした。材料は再使用できるとはいえ、生産効率を10%落としているので、不良率低減の取り組みが必要です。
2. 作業指導書/作業標準を早急に整備しなければなりません。工場で、特に中国の工場でものを作る場合、作業者に同じやり方、方法を徹底させることは、非常に重要です。それがないと慣れてくるに従って、作業員が勝手な判断で作業をするようになってしまいます。
→工場が大きくならない内に、整備する必要があります。大きくなってからでは、大変な作業となってしまいます。
今日のポイント
新しく立ち上げた工場では、その規模が小さいうちに、できる限り書類やシステムを整備しておく。