不良は宝の山?それは不良と認識して初めて宝の山になり得る!!
ある日系の樹脂成形メーカーさんの工場監査をした時の話です。
工場は、4階建ての4階にあり、1階、2階、3階は他の会社が入っている。
規模の大きくない会社では、建屋全部を借りては無駄になるので、フロア単位での借り入れ契約を行うことはよくある。
また、そういった小規模の企業が入りやすいように建屋の中で工業団地のようになっているところもある。
この樹脂の成形屋さんは自社で使用している成形金型は外注に出しているので、純粋に成形で生業をたてていた。
熱可塑性樹脂のみの成形ですが、材料は7〜8種類程度扱っていた。
日系企業だが、駐在の日本人は1人だけ。総経理は別の日本人の方だが、駐在はしておらず1ヶ月に4、5日いるだけ。
駐在のスタッフは主に営業関係、特に日系企業への対応を担当していた。
技術系の方は必要に応じて出張で来る。規模が大きくないので、何とかなっている。
この会社の製品の特徴は、次のとおり。
寸法的に厳しい製品はあまり扱っていない。
しかし、最終消費者の目に触れる部品を作っているので、外観はお客様から非常に厳しく言われており、神経を使っていた。
例えば、黒の樹脂の光沢むらもないようにお客様から厳しく言われていた。
発生する工程不良や客先クレームについて、聞き取り調査を行いました。
客先クレーム
その多くは、外観上の問題。
寸法でのクレームは、ここ最近はない。
寸法でクレームを出したら成形屋はできないと言われていた。
↓
これは逆の見方をすると、寸法面で厳しい製品を扱っていないということになると思う。
工程不良
これもやはり外観上の不良が一番。
工程での検査も外観検査を非常に神経を使って行っていた。
この会社に改善すべき点としてお話したのは、次の2点。
1.成形屋さんは現在稼動している金型のほかに、休眠金型もたくさん保有されている。
そのうちの1/3程度は、お客さんの資産であるにも関わらず、それらを管理する台帳が存在せず、遊休金型の状況がつかめていなかった。
→金型の処置について、すぐに判る管理(例えば台帳による管理)の実施
2.成形直後に外観検査をしている製品があり、非常に不良が多く出ていた。
不良が多いのは別の問題として、ここで問題だったのは、良品と不良品は別の箱に入れていたのですが、その箱自体は同じ箱で色も同じだったこと。
やはり、不良品は赤い不良品BOXに入れるべき。
今回のポイント:不良品は、赤い不良品BOXに入れる。
これは別にどうでもいいじゃないかとお考えの方がいるかも知れませんが、赤いBOXに入れることに意味があります。
- 作業者が不良品と、しっかり認識することができる
- 良品に混入/取り違えの発生を防げる
- 目立つことによって、この不良を減らそうという意識がスタッフ(作業者、管理者)に芽生える
不良品は、宝の山とよく言われますが、そのとおりです。
不良を不良としてきちんと認識して初めて、不良品が宝の山に変わり得るのです。