不良はすぐに班長に報告でよいのか?
駐在員時代には取引先の工場監査を本当にたくさんやっていた。今の仕事を本業にしてからは監査自体の数は以前ほどではないがやっている。つい2ヶ月か前も新規取引先の工場監査代行の仕事をいただき実施した。
工場監査で見るべきポイントはたくさんあり、独自のフォーマットにして漏れのないように行っている。たくさんあるポイントの中でいくつか重要視している項目があるが、その一つに「不適合品の管理または処理」というのがある。
不適合品は不合格品といい換えてもいいでしょう。なぜ不適合品の管理(処理)を重要視しているかというと、ものづくりをしている以上100%良品といいうのは現実的には無理である。率は別にしても不良品は必ず発生する。
問題は発生した不良品をどうするのかだ。不良品を確実に検出することが第一歩だ。不良品を見つけられなければ、それが顧客に出荷されてしまうことになるからだ。
そして検出した不良品をどうするのか。これが不適合品の管理(処理)である。その不良品の識別をしっかり行い、区分をする。大事なのは良品に紛れてしまわないことだ。しっかりと管理をして、不良品を顧客に流出させないこと、これが重要だ。
そんなの当たり前だとお思いの方がほとんどだと思うが、なぜここにこだわるかというと、駐在員時代に取引先からの不具合報告書(不良の発生及び流出原因、発生及び流出対策が書かれたもの)をいやというほど読んできたが、この不良品の管理が不十分で良品と一緒に出荷してしまったという内容が意外と多かったからだ。
今日のポイント
ある工場で、現場の作業者が自主検査などで不良品を発見したときにどのようにしますか? と作業者に質問をした。すると「すぐに班長に報告をします」という回答が返ってきた。
それなら問題ない、模範的な回答と一瞬思う訳だが、すぐに次の質問をすることになる。では班長がいないときはどうするのですか? と。これに対してはいろいろな答えが返ってくる。不良品をその場に置いて次の作業をし、班長が来たら不良品を見せて報告するなど。この回答では不良品が良品に混ざって次の工程に行ってしまう可能性があり、聞いた方はとっても不安になってしまうのです。
実際によく話を聞いてみると、基本的には不良が発生したとき不良品は不良品箱に入れる。これで良品との区分・隔離ができたことになる。そして、班長が順次不良品箱の不良品を確認するという処理手順であった。ただ、班長がいるときはすぐに班長に不良発生の報告をするということであった。
外部の人を安心、納得させるために不良が発生したらすぐに班長に報告するというのを前面に押し出して説明していたようだった。しかし、それでは班長がいない場合の対応に不安を与え逆効果である。前述の基本の処理の流れを説明した方がよい。
補足
なんか揚げ足取りのように受け取られた方もいるかもしれませんが、現場で起こる事態を想定してルール、決まりは作る必要があります。どんな状況でも作業者が迷いなく処理できることが必要です。
工場監査を受ける場合は、そういった説明をできるとお客さんの安心材料になります。
不良を検出するというのは、不良を社内で留めて顧客にわたさずに済むということだ。せっかく検出した不良品をその管理の甘さで顧客に渡してしまうのは、信用の面からもあまりにもったいないことだ。