メカニカルスイッチと電子機器故障の関係
メカニカルスイッチにはチャタリングという現象があり、電子機器の誤作動の原因になることはよく知られている。(チャタリング:スイッチを切り替えた時に接点が接触と跳ね返りを繰り返し、短時間にオン/オフが切り替わる現象)
メカニカルスイッチは、使い方によっては誤作動だけでなく、スパイク電圧を発生させ機器を破壊してしまう場合がある。電源設計をされている方には常識かもしれないが、これから電源設計を始める方の参考に紹介しておきたい。
下記の誤った使い方は、実際にあった例である。
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DCのユニット電源とRFユニットの間にメカニカルスイッチが設置されている。
この場合、スイッチをオンにすると、チャタリングと電源配線のL成分(インダクタンス)が相まって、非常に高いスパイク電圧を発生させる。スパイク電圧は電源電圧の2倍程度になる場合もあり、過電圧に弱いマイクロ波デバイスであれば簡単に焼損してしまう。
スパイク電圧の対策としては、メカニカルスイッチはDCの高電圧・高電流をオン/オフする回路にそのまま使用せずに、トランジスタやMOS FETと組み合わせて制御回路にスイッチを組み込み、オン/オフするようにすれば安全である。
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なお、MIL-STDにおいてはキャパシタの耐電圧試験が定格電圧の2.5倍で規定されていることや、タンタルコンデンサを定格電圧の1/3以下で使用するルールは、スパイク電圧も考慮に入っているのだろう。