フッ化水素酸(HF)による化学熱傷には、グルコン酸カルシウムゲルが効く???
半導体業界ではフッ化水素酸(HF、またはフッ酸)が多くの工程で使われています。
聞いたことはありますか? 色々な場面で役に立つ薬品です。
工業的に結構重要な薬品ですが、強腐食性で、触れると激しく腐食され、骨や血液中のカルシウムイオンを追って骨を侵したり、血液中のカルシウムと反応したりと、低カルシウム血症や心停止の原因ともなる危険な毒物です。
では、触れたらどうするか? ……手に触れたらすぐに皮膚の中に入り込んでしまうので水で完全に洗いきれないのか? などのショックが頭の中で浮かんでしまうと思います。
ですので今回、HFによる皮膚の化学熱傷への応急処置に使用するものを紹介したいと思います。
フッ化水素酸は、体の中のカルシウム食っていくので、皮膚にカルシウムゲルを塗ります。日本では既に調合されたゲルの商品が販売されていないようなので、グルコンサンカルシウムと潤滑ゼリーを混合してゲルを作ります。
日本中毒情報センターによると応急手当としてこのゲルを機能させるためには2.5%の濃度が適切なので、グルコン酸カルシウム2.5gと潤滑ゼリー100g(今回はK-Yゼリーを使った)を混ぜます。
グルコン酸カルシウムの粉は溶かしにくいので、混ぜる前にちょっと水で溶かしてあげたら楽になります! 水で溶かすときは、水の量に合わせてグルコン酸カルシウムを追加する必要があるので気を付けてください。
構えて……ガッツリ力を入れないと上手く混合してくれないので、根気が必要です!
できあがったゲルはこんな感じ~
<使用方法>
フッ化水素酸が皮膚に付着したら、すぐに大量の水で10分以上洗い流してください。
流している間に、皮膚の付着していない所にうっかり触れられないように十分ご注意ください。服装に付着している場合は汚された衣類を全部脱いで下さい。
洗い流したら、救急車を呼んでください。救急車がすぐに来てもフッ化水素酸が体の中に入り込んでいってしまうので、皮膚の患部に事前に作ったこのグルコン酸カルシウムゲルを大量塗ってください。
塗るときは必ず手袋をしてください。手に塗るときは、塗ったゲルの上に手袋をしてください。救急車が来るまで、15分毎に改めてゲルを塗ってください。
皆さん、フッ化水素酸を使う場所に設置しましょう。