ビデオで進める作業改善!!

ビデオで進める作業改善!!

ある中国工場での作業改善の話です。

その工場の工程は大きく2つに分かれていました。
機械加工工程と組立工程です。
機械加工工程で加工した部品を使って、
組立工程で組み立てて出荷する流れでした。

機械加工工程で問題となっていたのは、
加工漏れや寸法不良でした。
これら不良の多くは組立工程で発見できましたが、
中には顧客まで行ってしまうこともあり対策が
喫緊の課題でした。

加工漏れは、2ヶ所加工しなければならないものが
1ヶ所しかされていないものの比率が高くありましたが、
単純に1ヶ所のみの加工品でも発生していました。

2ヶ所加工するものの対策は工場側で既に進めており、
2ヶ所同時に加工できるよう設備の改造を進めていました。
聞けば当たり前のことですが、
このように設備改善に取り組んでいるのは、
意外とすごいことです。

1ヶ所加工品については、
その原因と対策を現場の責任者たちと一緒に考えました。
そのときに活用したのが、作業を撮影したビデオです。
現場で作業を見ながらではなくビデオに撮って、
それを見ながら作業を検証しました。

ビデオのよい点は、
同じものを何人でも一緒に見ることができることです。
そして、ひとつの作業を繰り返し見ることです。
繰り返し見ることで、1回見ただけでは気付かなかった問題、
特に小さな問題点にも気づくことができます。

関係者みんなでビデオを見て検討した目的は、
彼ら自身に問題点を気付いてもらうためです。

こちらが問題点を指摘することも出来ます。
それによって検討した作業については改善されるでしょう。
しかし、それでは他の作業についてもこちらから指摘しないと改善が進みません。

彼らが自分たちで気付き、
自分たちで改善できるようにするのが我々の役目なのです。
我々が去った後に自分たちの力で改善できる。
そこがポイントなのです。

関係者みんなで見ると、
いろいろなことに気付いてくれます。
もちろん中には的外れな意見もあります。
しかし、そんなことは問題ではありません。
みんなでいろんな気付き、意見を出す。
その中に重要なポイントが出てくればよいのです。

この工場の機械加工作業における加工漏れ不良に関しては、
ビデオ改善の前に加工漏れが発生する可能性のある
作業方法やワークの置き方について、
徹底的に教育をして意識付を行っています。
それをベースに個々の作業のどこに問題があるかを
考えてもらいました。

改善した作業が継続して行われるためには、
現場責任者たちが納得して動くことが必要です。
例え、正しくても上からの押し付けでは長続きはしません。

彼らも自分の言った気付きや意見が正しいとなれば、
自分たちでそれらの対応策を考え、実施します。
彼らだって作りたくて不良を作っている訳ではないのですから。

 

出典:ビデオで進める作業改善!!


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/