ハイテク装置を一瞬で制御不能にしてしまうヒューマンエラーを排除せよ

ハイテク装置を一瞬で制御不能にしてしまうヒューマンエラーを排除せよ

1991年のF1カナダGPでの事、ナイジェル・マンセルがファイナルラップの最終コーナーでエンジンストールし優勝を逃した、という出来事を覚えているF1ファンの方もいらっしゃるのではないだろうか。

その原因は、勝利を確信したマンセルが観客に手を振った際に、間違ってキルスイッチに手が当たりエンジンを切ってしまったのではないか、といわれている。(本人は否定しているらしいが……)

この事があってから、ウィリアムズチームはキルスイッチを押しにくい位置に移動したという。

これとよく似た経験をした先輩の話を思い出したので、今回はそれを紹介したい。

 

40年以上も前の事、構内の無線システムを開発し顧客へ納品したところ、たった数日で通信ができなくなったとクレームが入った。先輩が大慌てで顧客へ出向いて確認したところ、原因はなぜか電源スイッチが切られていた、というものであった。

当時の状況を顧客に尋ねたところ、どうやら清掃員の方が一生懸命掃除をしている時に、モップが間違って装置の電源スイッチに当たり、スイッチを切ってしまったという事らしい。

それ以降、その先輩は装置の電源スイッチにはカバーを付けて簡単に電源がオフにできないような設計にしたという。

 

別の先輩の話では、屋外に設置した無線装置の電源スイッチが、やはり何者かによって切られるという事件があった。通常は人の出入りがないところに設置されているので不審に思い、現場に張り付いて調査をしたところ、なんと犯人はカラスだったそうだ。

鳥という生き物は何か出っ張りがあると突いてみるという習性があるらしい。

 

電源スイッチにまつわるヒューマンエラーを挙げてみたがどうだろう。

さすがのハイテク装置も電源を切られてしまっては使い物にならない。トラブルの原因というものは意外なところに隠れているものなのかもしれない。


創業40年の製造業。ダイヤモンド事業からスタートしたテクダイヤは、会社本来の「人好き」が作用し、人との出会いを繰り返しながら業態変化を続ける。 現在はセラミック応用技術・精密機械加工技術・ダイヤモンド加工技術をコアとしながら先端技術のものづくりを支える。スマホやデータセンターなどの通信市場、更にはNASAやバイオ領域にも進出中。