シーケンス制御講座「PLCへの配線方法」
基礎からはじめるシーケンス制御講座
初級:PLCへの配線方法
PLCへの配線方法を説明します。配線方法とは、電源の入力、センサーなどからの信号の入力、ランプや動力への出力です。
PLCといってもさまざまな種類があります。
シーケンス制御講座では基本的に三菱のPLC(シーケンサー)を使用します。
三菱のPLCは、シーケンサーと呼ぶため、このサイト内でもシーケンサーと呼ぶ場合があります。
三菱のPLCだけでもいろいろ種類があるため、今回は初級編ということで、FXシリーズを使います。
FXシリーズとは簡単に説明すると、安価版のシーケンサーです。
しかし最近のシーケンサーは安価版でも十分な性能があります。初級者には物足りないことはないと思います。
下の写真がFX1Nというシーケンサーです。
FX1Nシリーズ(FX1NCは除く)では標準で端子台も付いていて、最低限必要な入出力も標準で付いているので、簡単な装置であれば問題はありません。
逆に上位モデル(例えばQシリーズ等)は入出力ユニット(I/Oユニットと呼ぶ)等も自分で選定して、自分が使いたい機能のPLCを製作する必要があります。
パソコンで言う自作パソコンと同じで、自分で選定します。つまり選定を間違えると使えません。
左側に「MELSEC」と書いてあります。
その下にふたのようなカバーがあると思います。
ここにパソコンと接続するためのポートがあります。
このタイプはRS-422の通信方式です。
まぁいきなり通信方式の話をしても混乱するので、この丸いコネクタとパソコンを接続して、パソコンからプログラムを書き込んだりします。
電源の入力
電源の配線はここの「L」と「N」の端子台に配線します。
AC100Vですが、仕様によってはDC仕様もありますので注意してください。
上の写真の「L」と「N」の端子に100Vを入れれば動作します。コンセントから電源をとる場合はここに入力します。
ただし非常停止等の機能をつけるときは、非常停止のb接点を間に入れて起きましょう。
安全基準にもよりますが、非常停止時はPLCに非常停止の信号を与えるのではなく、CPUそのものを落としたほうが確実です。
ただし、設備にもよりますので、設備に合わせた配線を行ないましょう。
配線は下の図のようにすれば簡単です。
シーケンサーにもDC24Vが出力できるようになっていますが、容量が小さく大きな負荷を駆動させると、シーケンサーが起動しなくなります。
センサー電源として使うのであれば問題ないのですが、それ以上の負荷を動作させるときはDC電源を取り付けましょう。配線はシーケンサーの100Vをそのまま配線します。
DC電源はパワーサプライのことです。
シーケンサーの電源端子に2本ずつ配線を行い、片方は100V、もう片方はDC電源の電源端子に入れます。
このように同じ電圧を同じ配線で接続していくことを「わたり」と呼びます。次はDC部分の配線です。
上の図のようにDC電源をセンサー電源として使用する場合は、DC電源のマイナス端子とシーケンサーのCOMを接続します。
グランド側を共通にしておくのです。
このように接続しないと、DC電源からセンサーを駆動させたとき、入力信号がシーケンサーに入らないのです。
シーケンサーの電源からセンサーを駆動させる場合は問題有りませんが、特に制約がなければ接続しておきましょう。
逆にシーケンサーの24+端子と、DC電源のプラス端子は接続しないでください。
電圧は両方24Vでも、ぴったり同じ24Vではないからです。
接続したからすぐに壊れるわけではありませんが、電源の寿命は縮まるとおもいます。
また電圧の違うDC電源でもグランド側を接続することは問題ありません。
信号の入力
それではPLCに信号を入力して見ましょう。信号の入力は簡単です。図のように接続します。
「X」というのはシーケンサーの入力のアドレス(記号)です。
「X0」~番号がついている端子台が並んでいると思います。
ここに信号線を接続していくのです。
つまり端子台の数しか入力はできません。
実際に設備を製作するときはI/O(入力や出力のこと)の数をよく確認しておかなければいけません。
リレー制御ではセンサーでリレーを動作させ、そのリレーの接点を利用してリレー回路を動作しました。
シーケンサーではセンサーでこの「X」という接点を動作させるのです。
信号は例えば上の図で説明すると、COMの端子台と任意の「X」の端子台を短絡(つなげる)すれば入力されます。
「X0」とCOMを短絡させれば、シーケンサーの表面の「X0」のランプが点灯し、信号が入力されます。
この「X」の入力はシーケンサーのプログラムで使用します。
押しボタンスイッチなどを図のように接続すれば、ボタンを押せば信号が入力されます。
シリンダセンサーの2線タイプも同じように配線を行えば信号が入力されます。
では透過型センサーや反射型センサーのように電源が必要なタイプはどのように入力するのでしょうか?
下の図のように入力します。
※線の色の補足です。昔の機器は線の色が違う場合があります。下記のように変換してください。
・赤色→茶色(DC+)
・黒色→青色(CD-)
・白色→黒色(信号線)
出力
次は出力です。
入力だけ接続しても、出力を接続しないとシーケンサー内のプログラムだけは動きますが、設備を動作させたりできません。
下の図のように接続します。
「Y」というのは出力のアドレス(記号)です。
ここでの「COM0」は入力で説明したCOMとは違うので注意しましょう。
まずランプを点灯させることを想定しています。
ランプのプラス側に電源からプラスを接続しておきます。
そしてその横にあるCOM0(数値の0です)に電源のマイナスを接続します。
次にランプのマイナス側に「Y0」を接続します。
この状態でシーケンサーからY0を出力させるとランプが点灯します。
どのような構造で点灯しているのかというと、下の図のようになります。
シーケンサーの出力端子は、単純に接点が入っているだけです。
シーケンサーにもいろいろな種類がありますが、ここで説明しているタイプはリレー出力タイプです。
つまり「Y0」が出力されると、「Y0」のリレー接点が動作します。
その接点を使っているだけです。そのためプログラム内では出力のことをコイルと呼ぶ場合があります。
このように接点が閉じて電流が流れるため、ランプが点灯します。
今回はDC負荷で行いましたが、ただの接点なのでAC負荷でも動作できます。
ただし接点容量があるので、あまり大きな負荷を直接取り付けると接点が飛びます。
それと、DC負荷の場合ですが、基本的に接点に対しては極性はありません。
つまりCOM0にDC24Vのプラス側を接続して、負荷側にマイナスを接続しても動作します。
これは接点がリレー方式だからです。
接点にはトランジスタ方式もあります。
この場合極性がありますので、上のイラストのような極性にしないと動作しません。
そのため最初からこの極性での接続をお勧めします。
シーケンサーがFXのタイプでしたら、実際は上のイラストのように出力は分かれています。
つまりACやDCを混在して配線も可能です。サンプルを紹介します。
まず「Y0」に接続されているのは無電圧負荷で、負荷から出ている2本の線を短絡すればいいタイプです。
電圧をかけたらいけないので図のように分けています。
次は「Y2」〜「Y5」です。これはDCの負荷をつけています。
この場合「Y2」と「Y3」〜「Y5」は独立しています。
そのため「COM1」と「COM3」を接続(わたる)しています。
そして「Y6」〜「Y10」はACの負荷にしています。これは接続例なので必ずこのように接続する必要はありません。
これで簡単な配線の説明は終わりです。
今回は端子台付きのPLC(シーケンサー)で説明しましたが、上位モデルは、ほとんどが端子台が標準で搭載されていません。
入出力ユニットを増設する形になります。
また、ユニットにも端子台はなくコネクタになっています。
そして出力のCOMは上のイラストのように独立していません。「Y0」〜「YF」まで独立していません。
FXシリーズでは入出力はともに0から始まり7で桁が上がります。
つまり「X7」の次は「X10」となります8点ずつです。Qシリーズなどは「X0」〜「XF」の15点となっています。
ユニット番号によってアドレスが変わりますので、注意してください。
最近のPLCは小型化が進んできています。出力はほとんどトランジスタ出力なので、購入のときはよく確認して購入してください。
PLCへの配線方法がわかったところで、今度はPLCに回路を書き込むソフトを起動してみます。
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