カタログ値と実力値の違いから感じるメーカのポリシー

カタログ値と実力値の違いから感じるメーカのポリシー

初めて購入した車はトヨタカローラだった。友人はホンダシビックに乗っていた。

サーキットの狼世代ということもあり、その友人と一緒に趣味でサーキットを走っていたのだが、明らかにシビックのほうがパワーがあり速かった。

カタログ値は同じ120馬力なのに、この違いは何なんだろうと、悔しい思いをした。

 

これと同じことが電子部品の世界にもある。

以前、5.8GHz帯のパワーアンプを量産していた。そのコストダウン版を開発しようという事になり、デバイスを他のメーカの代替品に変更して試作したことがある。

その代替品は、カタログスペックはほぼ同等でありながら価格が安かったのだ。

 

試作品は、その代替品用にパターン設計をしたし、バイアス設定もきっちりやった。どんなに良い特性が出るだろうかと意気揚々と電源をONにしたのだが、なぜかパワーが低い。

あれ? パターン設計がまずかったのかなと思い、調整片を切った貼ったでパターン調整してみたが、大して改善する気配がない。

おかしいな?と思い組立状態を確認するが、異常はない。バイアス設定もいつも通り、標準値から若干絞った省電力設定にしている。

 

そんな評価を1週間くらい続けて出した結論は、「この代替品の特性は、量産に使用しているデバイスと比較して劣っている」という単純な答えだった。

量産に使用しているデバイスはバイアス設定を絞ってもパワーがバンバン出ていたのだが、代替品はバイアス設定を上限ギリギリに設定してやっとカタログスペックを満足するという代物だったのだ。

この経験をしてからというもの、カタログスペックは参考程度に見るようにして、必ずサンプル評価を行うようにした。

 

そうしたところ、カタログスペックは控えめながら明らかに実力値が高いメーカと、カタログ値にチャンピオンデータを載せているのではないか? と思うようなメーカがあることに気が付いた。

実はテクダイヤ社内でも、規格外れの製品は絶対に売らないというポリシーのもと、余裕を持ったスペックに設定したがる技術部/品証部員と、実際の特性が良いのだからもっと良いスペック標記で市場にアピールしたいという営業部員とのせめぎ合いが、日々繰り広げられていたりする。

いずれにせよ、テクダイヤの製品に嘘偽りはないのでご安心されますよう。


創業40年の製造業。ダイヤモンド事業からスタートしたテクダイヤは、会社本来の「人好き」が作用し、人との出会いを繰り返しながら業態変化を続ける。 現在はセラミック応用技術・精密機械加工技術・ダイヤモンド加工技術をコアとしながら先端技術のものづくりを支える。スマホやデータセンターなどの通信市場、更にはNASAやバイオ領域にも進出中。