「KI法」とは。問題解決に必要なのは、今までの経験やカンか?
最近受講したセミナーの話。
『KI法』による問題解決能力の向上コース。というセミナー。
あー難しそう、眠くなりそう、つまらなそうとブログを読むのを止めようと思ったそこのあなた。
対象は主に製造業で働く人達ですが、凄く解りやすく書いているので、読んでみて下さい。
このブログでは、KI法の考え方だけを記述する。
NG品が発生したけど、何で発生したのか解らない。
とりあえず、暫定処置として手直しで対策している。
技術の蓄積があるから、これまでの経験とカンで対策している。
そんな時に、このKI法が使えます。
KI法というのは、発案者の磯部邦夫先生の頭文字を取って命名された。
問題発生した時にその問題を解決する一つの手法で、中でも、要因が未知の問題を解決する方法がKI法と呼ばれている。
簡単に事例を紹介します。(解りやすいよう多少話を膨らましている)
ある会社がこれで魚釣りの釣り糸を開発し “強度抜群の釣り糸” として売り出したところ、
「釣り糸が切れて大きな魚を逃がした。強度抜群なんて嘘っぱちだ」という苦情が続出した。
技術者は、「十分な強度を持たせたつもりだが未だ弱かったようだ」と考えて研究を重ね、更に強い素材を開発して市場に出した。
ところが相変らず同じ苦情が続出したのだ。
この話を聞いたKI法の先生は、これは素材の問題ではなく素材のところどころに弱いところがあってそこで切れるのではないかとアドバイスした。
早速、長さに沿って素材の強度を測定したところ、ところどころに弱いところがあり、しかもそれはランダムではなく規則性があることを発見。
次に先生は、後工程から順に遡って同じような規則性のある作業を探すようにアドバイスした。
その結果、製品の巻き取りドラム(円筒形ではなく平たい長方形)の長辺と同じ間隔であることを発見。
巻き取りドラムの長辺の角のところで曲げられ強度が大きく下がっていた。
これを円筒形ドラムに変えたところ、最初に市場に出したものより弱い(細くて原価も安い)素材でも十分な強度のある釣り糸が出来るようになり市場化に成功したそうだ。
KI法では、不良が出るのは “工程が安定せず、良品ができる時と不良ができる時で作業の仕方が何処か違っていて、その違いが不良発生の原因になっている” と考える。
そして、現場で虚心坦懐に工程を遡っていき、不良ができる時の作業の違いを突き止めるやり方をする。
結局のところ、今までの経験や知識、カンを頼りに対策しようとするのは
かえって、非効率で本当の原因を掴めずに暫定処置で終わってしまう確率が高いというもの。
KI法の大きな特徴の一つとして、ばらつきに注目する。
アベレージ化しては、本質は掴めない。
上記の場合は平均点だけ見て判断すると二人ともが2科目がんばりなさいというアドバイス(対策)になる。
しかし、実態はそうではない。
Aさんは英語が得意。国語が苦手だ。
つまり、国語を頑張りましょうというアドバイスになる。
Bさんはどっちも頑張りなさいになるが。
このように、平均値だけ見ると大事な情報が打ち消されてしまうため、平均値を取る前のデータで正しく現実的なアクションを取ることが重要だ。
データや事実で正しくバラつきを掴まないと、その後の問題対策も釣り糸メーカーの様に間違った対策に時間とお金をかけることなる。
では、KI法の考え方や視点を紹介する。
・現実に起きている現象から教えてもらう癖(自分の持っている知識に頼ってないか?)
・ばらつきを見つけ、生かそうとする癖(手直し作業が当たり前だと思っていないか?)
・問題に積極的に向かっていく癖(問題から逃げていないか?)
・話の筋を通していく癖(話の筋に飛躍がないか?)
これらの癖をつけていけば、きちんと事実を掴み、ばらつきを見つける事ができる。
結果がばらついているのに要因がばらついていないということはない。