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飛行機がハイブリッドになる、電気で飛べばCO2も騒音も少ない (石田雅...

飛行機がハイブリッドになる、電気で飛べばCO2も騒音も少ない (石田雅也,[スマートジャパン])

 全長7.5メートルの小型飛行機「Extra 330LE」が、7月4日にドイツ西部の空港で公開飛行にのぞんだ(図1)。機体の前方にモーターを搭載して、電気だけでプロペラを回転させて飛ぶことができる。モーターの最高出力は260kW(キロワット)で、電気自動車の「日産リーフ」の80kWと比べると3倍以上だ。

 これほど高出力のモーターを搭載した電動の飛行機による公開飛行は世界で初めての試みだ。電機メーカーのシーメンス(Siemens)が開発したモーターは重さが50kg(キログラム)と軽量で、1分間に2500回転する能力がある(図2)。この推進力で1トン近い重さの機体を飛行させることが可能になる。

 機体の前方にはシーメンス製のモーターとインバーターのほかに、スロベニアの小型飛行機メーカーであるピピストレル(Pipistrel)が開発したバッテリー・モジュールを搭載している(図3)。バッテリーの蓄電容量は公表していないが、7月4日の公開飛行では10分間にわたって飛ぶことができた。

 シーメンスは電動の飛行機の性能を強化しながら、次のステップでは商用のハイブリッド飛行機を開発する。大手航空機メーカーのエアバス(Airbus)と共同で、2030年までに100人乗りのハイブリッド飛行機を実用化する計画だ。飛行距離を1000キロメートルまで延ばして、近距離の運航に利用できるようにする。

 そのためにはモーターの出力を1万kW程度まで引き上げる必要がある。従来のジェットエンジンを搭載した飛行機と同様に、プロペラよりも推進力が大きいダクトファンを駆動するためだ。シーメンスとエアバスは2020年をめどに技術面の実現可能性を実証したうえで、商用のハイブリッド飛行機の開発を進めることにしている。

騒音が小さくて夜間でも離着陸できる

 ハイブリッド飛行機の利点はいくつかある。第1に燃料の消費費を大幅に削減できる。ハイブリッド自動車と同様に、モーターとガスタービンエンジンを組み合わせることで、飛行状態に合わせて最適な出力を発揮できるようになる。たとえば離陸後の上昇時にバッテリーの出力を高めて推進力を引き上げる。

 シーメンスによると、ハイブリッド飛行機は従来のジェット機と比べて燃料の消費量を最大50%まで削減できる見通しだ。燃焼に伴って発生するCO2(二酸化炭素)や汚染物質も同程度の削減が見込める。これが第2の利点で、地球温暖化対策として有効である。

 さらに第3の利点として騒音が格段に小さくなる。この点もハイブリッド自動車が実証済みだ。飛行機の騒音が小さくなれば、これまで夜間の飛行が禁止されていた地域でも運航できる可能性が高まる。機体の稼働率を向上させて、航空会社の収益を改善する効果が期待できる。

 シーメンスは電動飛行機用のモーターを開発するにあたって、ドイツ政府が推進する航空技術研究プログラム「LuFo」の支援を受けた。ドイツ政府は航空技術を他の産業にも活用できる戦略分野と位置づけていて、特に環境対策の面で先進的な技術の開発に重点を置いている。


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