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電力会社2社に行政指導、工事費負担金の請求で禁止行為 (石田雅也,[ス...

電力会社2社に行政指導、工事費負担金の請求で禁止行為 (石田雅也,[スマートジャパン])

 国を挙げて電力の小売全面自由化や再生可能エネルギーの拡大に取り組んでいるにもかかわらず、それを阻害するような行為が電力会社で相次いでいる。市場のお目付け役である電力・ガス取引監視等委員会は6月17日に、電力会社2社に対して口頭による行政指導を実施した。

 委員会が電力会社10社とJ-Power(電源開発)を対象に2015年度の電気事業に関する監査を実施したところ、電気事業法で定める禁止行為が見つかったためだ。どの電力会社かは公表していないが、特定の発電事業者に対して工事費負担金を過剰に請求するなどの禁止行為が2社で合計4件あった(図1)。同じ日には東京電力が料金通知の遅延で業務改善勧告を受けている。

 問題になった禁止行為は太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入に影響を与えるおそれがある。発電事業者が新しい発電設備を送配電ネットワークに接続するにあたっては、送電線などの増強工事が必要になることが多いからだ。固定価格買取制度の認定を受ける時にも、電力会社に接続を申し込んで、契約を締結してから工事費の負担金を支払う必要がある(図2)。

 負担金は国のガイドラインに従って電力会社の送配電部門が算出して、発電事業者に請求する仕組みになっている。工事費は状況に応じて発電事業者と電力会社で分担する。発電事業者の負担分を「特定負担」、電力会社の負担分を「一般負担」と呼ぶ(図3)。このうち特定負担の請求で禁止行為があった。

 従来は大規模な火力発電所などを新設する場合に、送電線の増強工事費を電力会社が負担(一般負担)してきた。その一方で固定価格買取制度(FIT:Feed-In Tariff)の対象になる再生可能エネルギーの発電設備に対しては、全額を発電事業者が負担(特定負担)する形になっていた。これでは再生可能エネルギーの導入量を拡大するのがむずかしくなってしまう。

2015年11月に負担金の配分方法を変更

 そこで政府は2015年11月に工事費の負担方法を見直して、「効率的な設備形成・費用負担ガイドライン」を制定した。再生可能エネルギーによる発電設備(FIT電源)の接続に伴って発生する工事費についても、原則として全額を電力会社が負担する形に改めた(図4)。

 地域の送配電ネットワークの能力を増強すれば、需要家や他の発電事業者・小売電気事業者も恩恵を受ける。こうした考えに基づいて、FIT電源の接続に伴う工事費も電力会社の一般負担に変更した。送配電ネットワークの運転維持費に算入したうえで、電気料金に反映させる仕組みだ。

 たとえば出力20万kW(キロワット)の発電設備を新設する場合に、送電線までの工事費は1000万円で済むものの、合わせて変電設備の増強が必要になって15億円もかかってしまうケースを想定してみる(図5)。ガイドラインの制定前であれば合計15億1000万円を発電事業者が負担しなくてはならなかった。ガイドラインの制定後は送電線の工事費1000万円だけを負担すればよい。


 発電事業者の負担が大幅に減って、再生可能エネルギーを導入しやすくなった。ただし接続する発電設備の規模に比べて工事費が著しく高額になるケースもあるため、一般負担の上限額が決まっている。

 電源の種類別に設備利用率(出力に対する発電量の割合)が高くなるほど上限額も高く設定した。設備利用率が最も高い木質バイオマスは出力1kWあたり4.9万円、最も低い太陽光は1.5万円が上限になる(図6)。この上限額を超えた分は発電事業者が負担する。


 2015年度の監査で禁止行為が見つかった2社のケースは時期が不明だ。金額の請求で問題が発生したことから、ガイドラインを制定する以前だった可能性が大きい。ただし制定後でも発電事業者の負担が減ったとはいえ、大規模な太陽光発電や風力発電では負担金が多額になることも考えられる。引き続き電力会社が提示する工事費負担金の内訳を十分に精査する必要がある。


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