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電力会社の売上高が9000億円以上も減少、上半期は西高東低の決算に (...

電力会社の売上高が9000億円以上も減少、上半期は西高東低の決算に (石田雅也,[スマートジャパン])

 電力会社の決算は第1四半期に続いて、第2四半期を加えた上半期(4〜9月)でも厳しい結果に終わった。10社の売上高を合計すると8兆9511億円にとどまり、前年から9058億円も減少した。西日本を中心に5つの地域では夏の気温が上昇して販売電力量が前年を上回る一方、東日本の3地域と中部・関西では販売電力量が減り続けている(図1)。



図1  電力会社10社の2016年4〜9月期の売上高・営業利益(連結決算)と販売電力量

 売上高が最も大きく落ち込んだのは東京電力で前年から15.5%も減った。次いで中部電力が11.8%減、東北電力が8.4%減、関西電力が7.6%減になり、上位4社が軒並み大幅な減収に陥っている。10社の中で四国電力だけは売上高を伸ばした。販売電力量が前年から4.9%も増えた効果が大きい。

 東京電力の売上高が減少した最大の要因は、電気料金に上乗せする燃料費調整額が前年と比べて4730億円も減ったことにある(図2)。火力発電に使うLNG(液化天然ガス)などの輸入価格の低下によるものだ。加えて販売電力量の縮小に伴う売上高の減少が750億円にのぼった。



図2 東京電力の売上高の内訳(連結決算)。出典:東京電力ホールディングス

 この結果、営業利益・経常利益ともに前年の上半期から900億円以上の減少になった(図3)。燃料費が為替(円高)の効果を含めて2900億円も減ったが、燃料費調整額の減少分(4730億円)には遠く及ばない。そのほかのコスト改善効果でも差を埋めることはできなかった。



図3 東京電力の経常損益の増減要因(連結決算)。CIF:運賃・保険料を含む燃料輸入価格。出典:東京電力ホールディングス

 LNGや原油の輸入価格は2015年まで下落を続けたものの、2016年の前半から上昇局面に入った(図4)。電力会社が電気料金に上乗せする燃料費調整額は実際の輸入価格に対して3〜5カ月の遅れで計算するルールになっている。輸入価格が下落する局面では電力会社に差益が生まれ、逆に上昇する局面では差損が生じる。



図4 燃料輸入価格(上)と為替レート(下)の推移。出典:東京電力ホールディングス

 東京電力と同様に大幅な減収減益に見舞われた中部電力の状況を見ると、燃料の輸入価格が大きく低下した前年度の上半期には1200億円の差益があったのに対して、今年度は550億円に縮小している(図5)。今後は輸入価格が上昇するため、年間では前年度の差益1600億円に対して今年度は200億円まで縮小する見通しだ。下半期の収益はさらに厳しくなることが予想できる。



図5 中部電力の燃料費調整額の期ずれ差益。出典:中部電力

関西電力は販売電力量が5.1%も減少

 関西電力は東京電力や中部電力と比べると売上高の減少率は小さいが、2015年6月に実施した電気料金の値上げ分640億円が含まれている(図6)。その効果を除くと売上高の減少率は10%を超えて、東京電力や中部電力と変わらない状況にある。



図6 関西電力の収益と費用の内訳(個別決算、画像をクリックすると増減の要因も表示)。出典:関西電力

 関西電力にとっては再稼働した原子力発電所(高浜3・4号機)の運転停止が影響したことに加えて、販売電力量の減少が深刻だ。2016年度の上半期は6月を除いて前年よりも気温が高かったにもかかわらず、販売電力量が5.1%も減ってしまった(図7)。北海道電力の6.3%に続く減少率で、顧客の流出に歯止めがかからない。



図7 関西電力の販売電力量(上)、月間平均気温(下)。出典:関西電力

 各社が収益の悪化に苦しむ中で、九州電力は大幅な増益を記録した。本業のもうけを表す営業利益(個別決算ベース)は前年から347億円も増えて1000億円を超えた(図8)。東京・中部・関西の上位3社に迫る勢いだ。他社と同様に燃料費調整額の減少によって売上高は前年をわずかに下回ったが、前年の9月と11月に原子力発電所(川内1・2号機)が再稼働した効果が燃料費に換算して390億円にのぼった。



図8 九州電力の収益と費用の内訳(個別決算、画像をクリックすると増減の要因も表示)。出典:九州電力

 もう1つ九州電力の決算で注目すべき点は、再生可能エネルギーによる電力の購入量が大幅に増えていることである。特に太陽光発電による電力の購入量が前年と比べて33%も増加した(図9)。



図9 九州電力の太陽光・風力発電の購入電力量。出典:九州電力

 風力など他の再生可能エネルギーを合わせると、九州電力が発電・受電する電力量のうち11%を占めるまでに拡大している。揚水式を除く水力を加えると21.4%に達して、国の2030年度の電源構成の目標(再生可能エネルギーで22〜24%程度)に早くも近づいてきた。

 ただし電力会社が固定価格買取制度を通じて購入する電力は利益には大きな影響を与えない。電気料金に上乗せする賦課金と国からの交付金が収入になる一方で、企業や家庭からの買い取りと国に納める納付金が同程度の規模で費用に含まれるためだ。


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