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遊水池の水上で太陽光発電、3700枚のパネルを浮かべる (石田雅也,[...

遊水池の水上で太陽光発電、3700枚のパネルを浮かべる (石田雅也,[スマートジャパン])

 岡山県の笠岡市にある「十一番遊水地」の水上で、5月27日に太陽光発電所が運転を開始した。大阪ガスグループのエナジーバンクジャパンが笠岡市から池の水面を借り受けて発電所を運営する。長方形の池の中央部分に太陽光パネルを並べた(図1)。

 太陽光パネルは合計で3744枚にのぼり、設置面積は1万平方メートルに及ぶ。発電能力は973kW(キロワット)になり、年間に100万kWh(キロワット時)の電力を供給できる見込みだ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して280世帯分に相当する。発電した電力は固定価格買取制度を通じて中国電力に売電する方針だ。

 水上式の太陽光発電所は笠岡市が事業者を公募して実現した。瀬戸内海から4キロメートルほど入り込んだ港の一角にある遊水地には野鳥や魚が生息している(図2)。

 笠岡市は公募にあたって、生物を保護しながら再生可能エネルギーを導入できる方法を検討した。池の水面にフロートを使って太陽光パネルを浮かべる工法を採用すれば、水質に影響を及ぼす可能性は低いと判断して公募の条件に加えた(図3)。

 公募で選ばれたエナジーバンクジャパンは兵庫県の小野市にある大きな農業用ため池の水上で、2014年9月に太陽光発電所を稼働させた実績がある(図4)。小野市の発電所で採用した同じタイプのフロートを笠岡市の発電所にも導入した。

高密度ポリエチレン製の軽量フロート

 水上式の太陽光発電で利用するフロートは、太陽光パネルを搭載しても水面に浮かぶように軽量であることが条件になる。エナジーバンクジャパンが採用したフロートは高密度ポリエチレンを素材に使ったフランスのシエル・テール社の製品で、劣化や腐食にも強い特徴がある。国内では京セラが兵庫県の2カ所で運転中の水上式メガソーラーで採用している(図5)。


 シエル・テール社のフロートは形状が違う2種類を組み合わせて、傾斜があるフロートに太陽光パネルを設置する方式だ(図6)。発電設備全体を2種類のフロートで長方形に組み上げた後、アンカーを付けたワイヤーを周辺部から水中に投入して位置を固定する。浮体式の洋上風力発電設備をアンカー付きのチェーンで海上に固定させるのと同様の方法である。


 水上式の太陽光発電は陸上に建設する場合と比べて土地を造成する必要がなく、夏でも太陽光パネルの温度が上昇するのを防いで発電効率の低下を抑えられるメリットがある。その一方で強い風が吹くと水面が揺れて太陽光パネルが傾き、水がかかって水滴が付着するなど運用面の課題も残っている。

 最近では関西を中心に農業用ため池で水上式の太陽光発電が広がり始めたほか、治水用の調整池や遊水池、さらにはダムの水面を利用した大規模なメガソーラーの建設プロジェクトも進行中だ。水上式の運転実績が増えれば、より効率的な建設・運用ノウハウが蓄積されていく。広い空き地が少ない地域では水上式の太陽光発電が有効な導入方法になる。


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