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走行距離たった50kmの小型電動バスを路線バスとして走らせる方法 (齊...

2016/10/31 IT media

走行距離たった50kmの小型電動バスを路線バスとして走らせる方法 (齊藤由希,[MONOist])

 早稲田大学は、磁界共鳴方式のワイヤレス給電に対応した小型電動バス「WEB-3 Advanced」を東芝らと開発し、羽田空港周辺や川崎市内で公道実証実験を開始したと発表した。ワイヤレス給電の普及を目指し、利便性を検証するのが目的だ。2017年3月ごろまで両地域で実証実験を継続する。

羽田空港周辺や川崎市内で公道実証実験を開始した小型電動バス「WEB-3 Advanced」 (クリックして拡大) 出典:早稲田大学

電動の小型バスは本来成立しない

 早稲田大学は2002年から民間企業とともに、電動バスの普及を目指す研究開発に取り組んでいる。テーマとしているのは、車両コスト抑制に向けたバッテリー搭載量の低減と、充電作業の利便性向上だ。2004年からは量産車両をベースにした電動バス「WEB(Waseda Electric Bus)」を製作しており、今回実証実験を始めた電動バスは8台目となる。開発したWEBシリーズの車両は、サントリーの工場見学用バスや長野市内の市街地を循環するバスで現在も運行中だ。

 WEBシリーズは、バスがターミナルに戻る度に小まめに充電する「短距離走行/高頻度充電」をコンセプトとし、バッテリーの搭載を最小限にしている。これにより、車両コストの削減だけでなく、車体の軽量化や十分な車内空間の確保を可能にした。また、走行距離が少ないため充電が短時間で完了するメリットもある。充電作業が頻繁になることに対応して充電コネクタを使わないワイヤレス給電装置を採用し、2005年に製作した車両から搭載している。

 電動バスの普及拡大には、現実的な運行を可能にする設計が必要だった。WEBシリーズの研究を担当する早稲田大学 理工学術院(環境・エネルギー研究科) 教授の紙屋雄史氏は「日中走行して夜間にフル充電する従来の電気自動車の利用スタイルは、小型の電動バスでは成立しない」と説明する。実際に設計したところ「人を乗せるのではなくバッテリーを運ぶだけのクルマになった」(紙屋氏)という。大型バスであればそういう利用スタイルでも電動バスとして成立するが「大容量の電池セルで車内空間が犠牲になって乗車定員が少なくなり、車両重量の増加によって保安基準を守るのが難しくなる」のが課題となっている。

8台目の電動バスのテーマ

 早稲田大学が手掛ける8台目の電動バス、WEB-3 Advancedの開発で課題となったのは、高コストで搭載性が低いワイヤレス給電装置の見直しだ。これまでのWEBシリーズでは電磁誘導方式を利用していた。電磁誘導方式の装置は受送電コイルの寸法に対して送電可能距離が短く、大型の受電コイルを車両に搭載する必要があった。また、この受電コイルはバスなど商用車にしか搭載できないサイズだったため、乗用車の部品としての量産展開によるコストダウンが見込みにくかった。

 WEB-3 Advancedは、小型のコイルでより長距離の送電が可能な磁界共鳴方式のワイヤレス給電を採用した。送電コイルと受電コイル間の距離が10.5cmの時に、44kWの出力でワイヤレス給電が可能だ。この受電コイルを車両に2つ搭載することで出力を確保している。許容位置ズレ性能は±10cm以内としている。充電効率は現時点では非公開。給電装置は東芝が新規に開発したものだ。量産しやすいモジュール構造で設計し乗用車にも搭載可能なサイズとしたことで、量産効果による低コスト化の見通しも立ちつつある。

車体下部にワイヤレス給電の受電コイルを2つ搭載している (クリックして拡大) 出典:早稲田大学

2016年度末まで川崎市内と羽田空港で運行

 WEB-3 Advancedは、日野自動車の小型バス「ポンチョ ロング」をベースに、UQM製で最大出力が145kWの駆動用モーターを搭載している。バッテリーのリチウムイオン電池「SCiB」とワイヤレス給電装置は東芝が提供した。バッテリーの総容量は40kWhで走行距離は最大50kmとなるが、小まめな充電を前提としているので不足はない。車両製作には電気自動車や燃料電池車などの開発/生産を手掛けるフラットフィールドが協力している。車体重量はベース車両が5710kgなのに対し、WEB-3 Advancedは5990kgで重量増を280kgに抑えた。


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