ものづくりニュース by aperza

自動化設備の評価方法

自動化設備の評価方法

設備の自動化を検討する場合に、その設備がどれだけ要求する機能を満足しているか、そして導入設備の規模や範囲をどのように決めたらよいかを評価する方法について説明します。そのための評価方法としては、次のようなものがあります。

1.費用・便益分析法

設備を自動化するために考えられる方法のうち、どれが一番よいかを判断するためには、費用(cost)と便益(benefit)という観点から導入の是非や適切な設備の水準を評価する方法が、費用・便益分析法です。費用・便益分析法は、ある設備を基準として、自動化が行われる場合と行われない場合のそれぞれについて、一定期間の便益額、費用額を計算し、自動化に伴う費用の増分と便益の増分を比較することにより分析、評価を行う方法です。

自動化設備を導入することによって、設備の購入費用や保全費用などがかかりますが、当然人件費は減ります。それ以外の効果としては、作業ミスや製品事故の減少、製品品質の向上、職場環境の改善、事業の拡大、生産量の増加等、数多くのものが存在します。それらの効果のうち、次の5項目について便益を算出します。

 (1)「作業時間の短縮」
 (2)「段取り替え時間の短縮」
 (3)「不良品の減少」
 (4)「製品事故の減少」
 (5)「製品品質の向上」

単純に計画している設備を導入するだけなら、将来にわたる便益の現在価値をB として、かかる費用をC とした場合、「B> C (または B/C > 1 )」ならば設備を導入した方がよいと判断できますが、複数の設備からひとつを選択する場合には、最も高いB/C ではなく、最も高い「便益-費用(B-C)」をもつ設備を選択します。

ただし、この方法は、次の点に注意する必要があります。まず、将来の便益を現在の価値に直す場合、正確に見積もることが難しいことです。このため、現在価値が過大に出やすくなります。また、便益を見積もる際には設備の生産量を予測することが必要になりますが、この生産量の予測には希望的な要素が入りやすいため、結果として便益が過大に見積もられる可能性があります。このあたりをいかに正確に見積もるかが重要です。

2.点数評価法

設備を自動化するために考えられる方法それぞれに、点数をつけて評価する方法が点数評価法です。点数評価法は、評価項目の性能等に点数をつけます。この場合、検討された最高の性能等の得点配分に応じた満点を、最低限の要求要件を満たす性能等に0点をつけます。また、それ以外の検討項目についても、それぞれの性能等に応じて配分します。

例えば、自動化に必要な項目が4つ(設備の要求内容によって項目数は変化します)あったとします。この「評価基準」に基づき、4つの項目ごとにその満足レベルを「秀」「優」「良」「可」「不可」のように5段階で点数評価し、その合計点を評価します。なお、点数の設定は4つの項目ごとに、満足レベルが「良(普通)」の場合をそれぞれ25点とします。 つまり、全ての項目が「良(普通)レベル」という設備を100点にするということです。なお満足レベルの評価は、システムの性能や実施の難易度が、それぞれどのレベルにあるかという判断基準で行います。「評価基準」は、製品価格なのか、設備の安全度なのか、加工時間なのか、というように何を設備に要求するかで異なってきます。

3.消去法

設備を自動化するために考えられるそれぞれの方法が、いろいろな条件を満たすか満たさないかを判断して、満たさない方法を消去する方法が、消去法です。

ただし、消去法は十分な検討をしないまま条件を満たさないとして条件を消去してしまうと、誤った結果が出てしまうので注意が必要です。条件を設定するときに、設備の購入費用や保全費用などの少なくない金額をかけるわけですから、より良い設備を導入するためには、ゆずれない条件やこだわりの条件などを十分に検討する必要があります。

もちろん、それらすべての条件を兼ね備えた設備を、限られた予算内で導入することは通常不可能です。そこで、条件を設定する場合には、そのこだわりの中から、「この部分はこうすれば問題を解決できる」とか「この機能はなくても我慢ができる」といった具合に、消去法で条件を減らしていくことが大切です。

4.まとめ

設備の自動化については、その自動化によりどれだけ生産性が上がるのか、人は減るのかなどを試算するだけではなく、対象製品のライフサイクルや設計変更の有無などについても十分に検討して下さい。自動化により生産性は上がったものの、製品の品質が落ちたり、余計な端材がこれまで以上に多く発生したりするようでは、自動化した価値がありません。

上記は、あくまでも評価方法の一例です。これらを組み合わせたり、これら以外の方法を取り入れたりしても一向に構いません。どの評価方法でも要は自動化設備を導入して効果が上がればよいわけで、自社に一番合った評価方法を検討してみてください。


1983年、東京電機大学工学部卒業後、株式会社日立産機エンジニアリング入社。 ロボット周辺装置、搬送・部品供給装置、試験装置など、主に自動制御設備の設計を務める。 2015年に竹内技術士事務所を開設する。 専門領域は「自動制御設備」「機械装置」など