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火力発電タービンから断熱窓まで高性能に、省エネ技術開発テーマを採択 (...

火力発電タービンから断熱窓まで高性能に、省エネ技術開発テーマを採択 (陰山遼将,[スマートジャパン])

 新エネルギー・産業技術総合開発機構は2016年10月24日、平成28年(2016)年度「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」における新規技術開発テーマの第1回公募結果を発表した。審査の結果、9件の技術開発テーマが採択されている。

 同プログラムは日本のさまざまな産業の省エネおよび循環型社会の実現に貢献する新技術の開発支援を目的としている。政府が掲げる「省エネルギー技術戦略」において、重要技術に指定されている領域を中心に、特に高い省エネルギー効果が見込まれる技術を事業化まで支援するのが特徴だ。今回の公募では68件の応募があった。

 採択された9件のうち、開発や導入シナリオの策定などを行う段階である「インキュベーション研究開発」には3件が選ばれた。「革新省エネルギー軟包装印刷システムの開発」(東レ)、「酸素欠損を制御したWO3ナノ粒子酸化物半導体を用いた超急速充放電二次電池の開発」(東芝マテリアル)、「コランダム構造酸化ガリウムα-Ga2O3を用いた600V耐圧SBDの開発」(FLOSFIA)の3件だ。

 東レが取り組むのは、パッケージなどの軟包装印刷で主流となっているグラビア印刷に変わる新しい省エネ印刷システムの開発だ。LED-UVによる乾燥方式を組み合わせた、水なし印刷システムの実現を目指し、それに必要なインキや関連機器を開発する。実現すれば、グラビア印刷比で83%の省エネが図れるという。

 東芝は自動車や建設機械の燃費改善への貢献を目的に、エネルギー回生システムの効率向上に寄与できる急速充放電特性を持った新型蓄電池の開発を目指す。高い電子伝導性を有する酸化タングステンナノ粒子を蓄電デバイスの電極に適用し、エネルギー密度の増大や耐久性向上を図るとともにセル開発を進める。実現すれば車両の減速時などに放出されるエネルギーを、再び電力として利用するエネルギー回生システムの効率向上に寄与し、現状のエネルギー回生搭載車の燃費を3%、ディーゼルエンジンを利用する建設機械では25%改善できる見込みだという(図1)。



図1 開発する蓄電池の適用イメージ 出典:NEDO

 FLOSFIAはACアダプタなどの家電や太陽光発電用のパワーコンディショナーなどにおいて、電源システムの省エネに貢献する低価格なショョットキーバリアダイオード(SBD)の開発を目指す。SBDの低価格化を図るとともに、量産への適用が可能な4インチプロセスを開発し、600V耐圧10AのSBDを開発する計画だ。

火力発電タービンを高性能化

 実用化開発フェーズとしては5件が採択された。1つがティエムファクトリが京都大学、YKK APと共同で実施するこれまで断熱材が適用できなかった窓に実装できるペアガラスの開発だ。既に超軽量かつ透明な断熱材エアロゲルの低コスト化に成功しており、今回は実用化に向け残る技術課題の解決を目的とした研究開発を進める計画だ。この新しいペアガラスを実用化でき、市場に流通している断熱窓および非断熱窓と置き換えれば、それぞれ43%、75%の空調消費エネルギーを削減できる見込みとしている(図2)。



図2 開発するペアガラスのイメージ 出典:NEDO

 三菱日立パワーシステムズは東京工業大学と共同で、火力発電設備の高効率化に貢献すする三次元金属積層部材用の高強度超合金の開発に取り組む。アディティブ・マニュファクチュアリング(AM)という金属粉末などを積層して最終製品を製造する新手法がある。従来は難しかった形状を実現でき、ガスタービンの効率化や高温化が図れる可能性があるといったメリットが見込めるものの、従来の精密鋳造材と同等の強度特性をもつ金属粉末が無いことが課題だった。そこで最適な合金を開発を目指し、ガスタービンの効率化およびさらなる効率化に貢献する狙いだ。発電用ガスタービンへ高強度AM開発材を適用することで、2024年に1.9万kL/年、2030年に5.8万kL/年の省エネ効果が見込めるとしている。

 この他、アイシン精機と豊田自動織機はがより高効率なガスヒートポンプエアコン(GHP)、積水化学工業がパナソニックなどと共同で省エネルギー型の廃水処理システム、オークマ、DMG森精機、ファナック、東京大学、日本工作機械工業会など14者が炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの次世代材料を適用できる工作機械の開発をに取り組む計画だ。また、1件採択された実証開発フェーズでは、日本電気が立命館大学と共同でFPGAの省電力化に向けた技術開発を実施する。


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