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東京電力の料金通知の遅れ、解消の見通し立たず9月以降も続く (石田雅也...

東京電力の料金通知の遅れ、解消の見通し立たず9月以降も続く (石田雅也,[スマートジャパン])

既報1(5月23日):「東京電力のシステムに不具合、またも小売自由化に支障をきたす」

既報2(6月13日):「東京電力のシステム不具合が続く、未通知件数が最大4万件を超える事態に」

 政府の電力・ガス取引監視等委員会は6月17日付で、東京電力の送配電事業会社である東京電力パワーグリッドに対して、小売全面自由化後で初めての業務改善勧告を通達した。小売電気事業者や発電事業者が需要家の契約を東京電力から切り替えるために必要な「託送業務システム」に不具合が発生している問題が拡大しているためだ(図1)。7月1日までに改善計画を提出するように求めた。

 東京電力の託送業務システムでは4種類の不具合が発生している。その中でも料金計算で重要な役割を果たす検針データの連携処理の不具合の影響が大きい。需要家の契約変更に伴って電力の使用量や発電量を30分単位で測定するスマートメーターに切り替える必要があるが、計器を切り替えた情報が連携処理に反映されず、旧式のメーターのまま料金計算を実施してしまう状況だ(図2)。

 旧式のメーターでは検針員が現地で読み取ったデータをもとに料金を計算しているため、検針期間は前月の読み取り時から当月の読み取り時が対象になる。これに対して自動でデータを読み取れるスマートメーターの場合には、毎月の検針期間が固定されている。旧式のメーターとスマートメーターでは検針期間が異なるが、東京電力の託送業務システムでは需要家ごとのメーターの設置情報が正しく反映できていない。

 こうした一連の不具合を解消できていないために、東京電力から小売電気事業者や発電事業者に通知する需要家ごとの電力使用量や発電量のデータが一定の期日までに通知できなくなっている。

わずか9日間で未通知件数が1万件も増加

 電力使用量(需要)のデータ通知に遅れが発生している件数は6月7日の時点では合計で約1万8000件だったが、6月16日には約2万1000件に増加した。同様に発電データの通知遅延件数も6月7日の約2万件から6月16日には約2万7000件まで増えている。両方を合わせると3万8000件から4万8000件へ、9日間で未通知の件数が1万件も拡大してしまった(図3)。


 電力使用量のデータは検針日から4営業日以内に、発電量のデータは5営業日以内に通知することが、国の電力広域的運営推進機関の基準で示されている。小売電気事業者が需要家に電気料金を請求したり発電による買取金額を通知したりする業務に必要なためだ。しかし東京電力の管内では契約変更を実施した需要家に電気料金を通知できず、事業者に対する不信感にもつながる深刻な事態が生じている。

 東京電力はシステムの不具合による需要データと発電データの遅延分を人員を増強して手計算で処理する一方、システムの改修にも取り組んでいるが、現時点では全面解決の見通しは立っていない。

 新たにシステムに機能を追加しなくてはならない点も見つかっている。需要家が太陽光発電などで電力を供給した場合の連携処理が実装されていなかった。この連携処理に必要な機能を6月末までに追加する予定だ(図4)。

 さらに全体の不具合の原因になっている検針期間の誤りに関しては、計器の取替情報を料金計算の処理プログラムで一致させるための同期機能を加える(図5)。7月末までにプログラムの修正を完了して不具合を解消できる見込みだ。

もともとシステムの性能が不十分だった

 ところが問題はこれだけでは収束しない。稼働した当初から託送業務システムの性能が不十分で、処理時間が想定以上にかかっていることもデータの遅延を生じている原因の1つになっていた。東京電力は処理時間を短縮するために、複数の処理を並行で実行する対策を施すほか、ソフトウエアの見直しやハードウエアの増強も進める方針だ(図6)。

 当面は需要データと発電データを期日どおりに通知することはむずかしく、7営業日までの通知を目標に事態の改善に取り組んでいく。一方で東京電力はスマートメーターの設置工事にも大幅な遅れを生じていて、この問題でも国から再三にわたって報告徴収を受けている。現在のところスマートメーターの遅延が解消するのは9月の予定だ。

 託送業務システムの不具合によるデータの遅延にはスマートメーターが影響している。このため全面的な問題解決のめどを立てられるのは9月以降になってしまう。事態を深刻と見た電力・ガス取引監視等委員会は東京電力パワーグリッドに対して7月1日までに改善計画の提出を求めたうえで、月に2回の検証を実施すること、その結果を1週間以内に委員会に報告することを求めた。

 この報告の終了時期は委員会が状況を見ながら決定する。電力市場のリーディングカンパニーである東京電力が引き起こした混乱は小売全面自由化から半年以上にわたって続く可能性が大きい。4月1日に発足した東京電力パワーグリッド単体の問題では済まない。全社を挙げて早期解決に取り組む必要がある。


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