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市民電力や生協が続々と小売電気事業者に、再生可能エネルギーを家庭へ (...

市民電力や生協が続々と小売電気事業者に、再生可能エネルギーを家庭へ (石田雅也,[スマートジャパン])

 電力取引等監視委員会は2月5日に小売電気事業者の登録審査を実施して、21社を適格と認定した(図1)。すでに登録を完了した小売電気事業者を含めて169社に拡大する。申請中の事業者を加えると280社に達している。

図1 小売電気事業者の審査を通過した21社(2016年2月5日)。出典:電力取引監視等委員会

 新たに登録を認められた小売電気事業者の顔ぶれを見ると、ガス会社が5社を占めるほか、キヤノン、凸版印刷、トヨタ自動車といった有力企業グループからの参入が活発に始まった。さらに目を引くのが地域特化型の事業者で、自治体が出資する会社が2社、生協グループが2社含まれている。

 鳥取市が鳥取ガスと共同で設立した「とっとり市民電力」は、新電力で大手の伊藤忠エネクスと提携して安定供給体制を整備する(図2)。地域の再生可能エネルギーを中心に電力を調達しながら、不足分を伊藤忠エネクスのバランシンググループと呼ぶ共同調達の仕組みでカバーする体制だ。


図2 「とっとり市民電力」の電力供給体制(上)、鳥取市のエネルギー地産地消による町づくりの構想(下)。出典:とっとり市民電力、伊藤忠エネクス、鳥取市

 市の公共施設から電力の供給を開始して、徐々に家庭や民間企業へ対象を広げていく。鳥取市では地域の農林水産業と連携したエネルギーの地産地消を推進する構想を掲げている。電力や熱などのエネルギーと合わせて生産物や資金を循環させることで、地域社会を活性化させる狙いがある。

 同様の取り組みは福岡県みやま市でも進んでいる。みやま市は2015年4月に地元の金融機関などと共同で「みやまスマートエネルギー」を設立して、11月から市の公共施設を中心に電力の供給先を拡大してきた(図3)。小売電気事業者に登録が決まり、2016年4月から家庭にも電力を販売する予定だ。

図3 福岡県みやま市が推進する電力事業。出典:みやまスマートエネルギー

 自治体が設立した市民電力の中では、すでに大阪府の泉佐野市による「泉佐野電力」、岡山県の真庭市による「真庭バイオエネルギー」の2社が小売電気事業者に登録した。鳥取市と福岡県みやま市を加えて4社になり、今後も増え続けることは確実だ。

太陽光から風力・地熱・バイオマスまで

 生協では大阪府の「大阪いずみ市民生活協同組合」に続いて、新たに2つの事業者が加わる。1つは兵庫県を中心に生活必需品を販売する「コープこうべ」である。グループ会社が運営する太陽光発電所や宮崎県のバイオマス発電所から電力を調達して、4月から生協の店舗や協同購入センタ―を対象に供給を開始する(図4)。その後に電力の調達量を拡大したうえで組合員の家庭にも提供する計画だ。


図4 「コープこうべ」グループの太陽光発電所の位置(上)、「鳴美浜発電所」の全景(下)。出典:コープこうべ、コープ環境サービス

 コープこうべグループの太陽光発電所は現在10カ所で運転していて、年間に400万kWh(キロワット時)程度の電力を供給できる能力がある。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると1000世帯分を超える。

 生協関連のもう1社は関東圏を中心に電力を販売する「生活クラブエナジー」である。2015年4月から生協の事業所に電力の供給を開始した。2016年4月には組合員を対象にした電力の販売を首都圏から開始する予定だ。母体の「生活クラブ」は生協の連合体で、小規模な太陽光発電所や風力発電所を全国各地に数多く展開している。

 自治体や生協のほかにも、再生可能エネルギーの地産地消を推進する小売電気事業者がある。鹿児島県と宮崎県を中心に電力の買取・供給事業を展開する「エヌパワー南九州」だ。九州ならではの地熱発電を含めて再生可能エネルギーによる電力を高く買い取り、学校や工場などに安く販売する(図5)。

図5 「エヌパワー南九州」の電力供給イメージ。出典:エヌパワー南九州

 現在は九州のほかに東北・東京・中部・関西電力のサービスエリアでも地域の電力を買い取って販売している。東京電力の管内では2つの自治体を対象に合計24カ所の施設に電力を供給中だ。今後は北海道と中国電力のサービスエリアにも拡大していく。


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