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太陽光発電の導入コストは10年後に57%下がる (石田雅也,[スマート...

太陽光発電の導入コストは10年後に57%下がる (石田雅也,[スマートジャパン])

 世界140カ国以上が加盟するIRENA(国際再生可能エネルギー機関、International Renewable Energy Agency)が2025年までの太陽光発電の導入コストを予測した。「Power to Change(電力の変革)」と題したレポートの中で、太陽光発電の導入に必要な各種のコストを分析して、量産効果や技術革新などをもとに今後の見通しをまとめたものである。

 太陽光発電システムの導入コストは全世界で下がり続けて、2015年には出力1kW(キロワット)あたり1800米ドルになった。同年の為替レート(1米ドル=約120円)で計算すると21〜22万円である。今後さらに太陽電池モジュールなどのコストダウンが進み、2025年には800米ドル(約9万6000円)まで低下する(図1)。比率にすると57%も減って、1kWあたり10万円以下になる。

 コストダウンの内訳を見ると、全体の3分の1を占める太陽電池モジュールの価格も下がるが、それを上回って周辺装置や施工にかかるコストが大幅に低下する。コストダウンできる金額の約7割を周辺装置・施工・ソフトウエアが占める見込みだ(図2)。一方で発電した電力を直流から交流へ変換するインバータのコストダウンは少額にとどまる。

 太陽電池モジュールのコストは単結晶シリコンと多結晶シリコンの両方とも2025年までに約40%下がる予測だ。いずれも技術革新による発電効率の上昇に加えて、シリコンからウェハー、セル、モジュールを製造するまでの各工程でコストダウンが期待できる(図3)。モジュール単位の発電効率は単結晶シリコンで2015年の17%から21.5%へ、多結晶シリコンで16%から19.5%へ上昇する。

日本では周辺コストが他国よりも高い

 これまでにもコストが大きく下がった太陽電池モジュールやインバータに比べて、周辺装置や施工、さらに導入に必要な手続きを含むソフトウエア関連のコストはさほど低下していない。今後はこうした周辺コストが急速に下がっていく。

 2015年の時点では太陽光発電システムの導入コストのうち約6割を周辺装置などが占めていた。このコストが2025年までに66%も低下する見込みだ(図4)。ケーブルや架台などのハードウエアが26%、施工が16%、ソフトウエアが24%の削減効果をもたらす。

 それぞれの内訳を見ると、ハードウエアでは架台のほかに、系統接続・監視制御・安全対策に必要な装置のコストダウンが大きい。施工面では架台の設置作業など機械工事のコストダウンが期待できる。ソフトウエア関連では発電所の建設に必要な権利取得や資金調達などの管理コストが大幅に下がる見通しだ。いずれの分野でも技術やノウハウの改善に加えて、建設プロジェクトの増加によるスケールメリットの効果を見込める。

 2025年に向けて周辺コストの低下が期待できる中で、現状は国による差が極めて大きい。周辺コストを主要な国ごとに比較すると、最も安い中国やドイツと最も高い日本では3倍以上の差がついている(図5)。中国とドイツでは1kWあたり500米ドル(約6万円)で済むのに対して、日本では1700米ドル(約20万円)もかかる。

 日本はハードウエア・施工・ソフトウエアのいずれも高いが、他国と比べて特に割高なのはソフトウエアのコストだ。人件費の高さも影響している。今後は全世界でソフトウエアのコストダウンが期待できることから、日本でも先進国の事例を参考にプロジェクト管理などの効率化に取り組めば、太陽光発電の導入コストは格段に下がっていく。


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