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太陽光発電に初めて環境影響評価を適用、長野県がメガソーラー計画に (石...

太陽光発電に初めて環境影響評価を適用、長野県がメガソーラー計画に (石田雅也,[スマートジャパン])

 長野県で初めて環境影響評価の対象になったメガソーラーは「諏訪四賀(しが)ソーラー事業」である。諏訪湖から東へ5キロメートルほどの場所にある高原地帯で、近くには避暑地で有名な霧ヶ峰高原が広がっている(図1)。

図1 「諏訪四賀ソーラー事業」の対象区域(赤枠内)。出典:Looop(環境影響評価方法書の要約書)

 メガソーラーを建設する用地は面積が188万平方メートルもある。もともと地元の農業協同組合などが牧草地として使っていたが、広大な土地の維持・管理がむずかしくなり、再生可能エネルギーの発電用地に転換することになった。太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの開発・販売を手がけるLooop(ループ)が事業者としてメガソーラーの開発計画に着手した。

 現在の計画では188万平方メートルの用地のうち約半分を使って、31万枚の太陽光パネルを設置する。発電能力は89MW(メガワット)を想定していて、長野県内のメガソーラーでは最大になる見通しだ。

 太陽光発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を14%で計算すると、年間の発電量は1億kWh(キロワット時)に達する。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して3万世帯分の電力になる。立地する諏訪市の総世帯数(2万世帯)の1.5倍に匹敵する規模だ。運転開始は5年後の2021年度になる予定で、2年間かけて環境影響評価を実施する。

 長野県は全国でも有数の日射量を誇り、森林や河川も多く、再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組む地域の1つである。自然環境を守りながら再生可能エネルギーの導入量を拡大するために、「長野県環境影響評価条例」を2016年1月13日付で改正した。新たに水力・地熱・太陽光による発電設備に環境影響評価の手続きを義務づけた(図2)。

図2 「長野県環境影響評価条例」の改正で対象に加わった事業区分と規模要件(第2種事業は環境影響評価の必要性を知事が判定)。出典:長野県環境部

 このうち太陽光は国の環境影響評価の対象には含まれていない。長野県が独自の基準で実施するもので、敷地面積が50万平方メートル以上の場合には必ず対象になる。水力・風力・地熱も国の基準と比べて規模の要件を厳しく設定した。手続きの流れは国と同様だ。方法書・準備書・評価書の3段階を完了して、ようやく事業者は建設に着手することができる(図3)。

図3 「長野県環境影響評価条例」に基づく手続きの流れ。出典:長野県環境部

環境影響評価は16項目に及ぶ

 諏訪四賀ソーラー事業では第1段階の方法書の公告・閲覧が1月20日に始まった。1カ月間の縦覧を通じて住民と市町村の意見を集めたうえで、知事が事業者あてに意見書を出す手続きになっている。同様の手続きを繰り返しながら、環境影響評価の調査・予測方法や保全対策などに修正を加えていく。手続きが完了するのは2年後の2017年度末になる見通しで、その後に設計・建設工事に入る(図4)。

図4 事業の実施予定期間。出典:Looop(環境影響評価方法書の要約書)

 環境影響評価の対象には16項目が含まれている。国の環境影響評価の対象にもなる風力・水力・地熱・火力の実施項目とほとんど変わらない。太陽光発電では問題が発生しにくい悪臭や地盤沈下を除き、大気や騒音・振動、水質・土壌、動植物や景観に対する影響を調査して必要な保全対策を評価書に盛り込んでいく(図5)。

図5 環境影響評価の実施項目。出典:Looop(環境影響評価方法書の概要説明資料)

 特に自然環境を保全する対策として用地の4割以上を森林や湿原のまま残すほか、発電設備の周囲に緑地や調整池を整備する(図6)。調整池は周辺地域の洪水対策の役割も果たす。用地の造成にあたって伐採した樹木は木質チップに加工して再利用する方針だ。

図6 対象区域の土地利用計画。緑色が森林と緑地、茶色の区域に発電設備を設置。出典:Looop(環境影響評価方法書の要約書)

 太陽光発電は燃料や発電機を使う必要がないことから、再生可能エネルギーの中でも環境負荷が最も低い電力源と考えられている。国が太陽光発電を環境影響評価の対象に加えていない理由だ。ただし大規模なメガソーラーになると広大な土地を必要とするため、森林破壊や景観悪化などの問題点が指摘され始めた。

 長野県のほかにも太陽光発電に対して環境影響評価を義務づける自治体が増えている。事業者にとってはコストと開発期間の両面で負担が大きくなるが、再生可能エネルギーを拡大して地域社会に貢献するためには必要なプロセスである。


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