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入社2年目、精密加工者のしくじり②「逃げ加工って何ですか?」

入社2年目、精密加工者のしくじり②「逃げ加工って何ですか?」

それは、前回のディスペンサーノズル加工から約1ヶ月後の話。

他部門から樹脂材を加工して治具を作って欲しいとの依頼が!

この加工依頼で経験した私のしくじりをお話します。

今回、しくじった加工方法は「逃げ加工」と呼ばれる加工方法です。

【当時加工した「逃げ加工」】

 

フライス加工では、エンドミルなどの円形工具を回転させて加工を行います。

そのため、角形状の溝を加工しようとすると、使用した工具の半径分のコーナーが隅に残ってしまいます。しかし、コーナーを完全に90°にするためには、ワイヤ加工や放電加工などの別の加工が必要になり、コストが跳ね上がります。

 

今回の依頼は樹脂材に正四角形の溝を加工してほしいとのことでした。

しかし、図面を見るとその正四角形の溝の四隅は90°に……どうやら、その正四角形の溝に他の部品をはめ込むらしい。

私も「こうしましょう」が大好きなテクダイヤ社員の端くれ。意気揚々かつ自慢げに依頼者の先輩に加工を語ります。

 

「コーナーを90°にするためには工数がかかるので、「逃げ加工」をした方がいいですよ!」

「逃げ加工」とは今回の依頼の様な加工した溝部分に他の部品をはめ込む場合、コーナーが邪魔になってしまうため、コーナー部分を広げてしまい、はめ込む部品の角を「逃がす」ためにする加工方法です。

早速、先輩からの承諾を得て加工を開始。ここまでは順調でしたが、ここからが私の失敗です……

 

当時、「逃げ加工」がされている製品をあまり見たことがなかった私は、「逃げ加工」という名前は知っていたものの、実際に加工したことがありませんでした。

そう。

また思い込みで加工をしてしまったのです。

 

「刃物を逃がせばいいんでしょ?簡単だよ。」と思いながら加工をしていきます。

加工が終了し、依頼者の先輩に「できました!」と連絡。

しばらくして、先輩が来ました。

 

しかし、できあがったものを見た先輩は怪訝そうな顔つきに……

「お、おう……。ありがとな。ちょっと試してみるわ」

どこか歯切れの悪い感じです。

 

そんなこともお構いなしに、加工を教えてくださっているK師匠に自慢げにできあがったものの写真を見せに行きます。

「どうですか?結構うまく出来たと思うんですけど。」

ここで写真を見たK師匠が一言。

 

「え?これ、全然“逃げ”てないじゃん。」


【思い込みで加工した「逃げ(もどき)」の図解】

 

しくじりました。

 

あまりに恥ずかしい経験で写真を消してしまったため、図で解説します。(笑)

黄色の部分が私が加工してしまった「逃げ加工(もどき)」です。

当時、私はコーナー部分さえ削り取ってしまえば良いと思っていたので、刃を少し送り込めばいいだけでしょ?と勘違いをしてしまったのです。

 

その結果が上の図です。

「逃げ加工」を見たことがあれば、絶対に起こるはずのないミス。

下調べをせずに思い込みで加工をしてしまったことが原因です。

 

今でも「ミッ〇ーマウスの耳を加工した」といじられます。(笑)

これ以降、見たことがある加工でもやったことのない加工では下調べをするようになりました。

※ちなみに後日談ですが、加工方法をしくじっててもちゃんと使えたそうです。。。(汗)

 

第2技術Gr

HIDE


創業40年の製造業。ダイヤモンド事業からスタートしたテクダイヤは、会社本来の「人好き」が作用し、人との出会いを繰り返しながら業態変化を続ける。 現在はセラミック応用技術・精密機械加工技術・ダイヤモンド加工技術をコアとしながら先端技術のものづくりを支える。スマホやデータセンターなどの通信市場、更にはNASAやバイオ領域にも進出中。