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人工知能で電力需要を予測、日本気象協会が需給コスト削減に本腰 (陰山遼...

人工知能で電力需要を予測、日本気象協会が需給コスト削減に本腰 (陰山遼将,[スマートジャパン])

 日本気象協会は2016年6月2日に東京都内で会見を開き、日射量予測サービスなどを手掛けるエネルギー事業の概要と今後の戦略について説明した。日本では太陽光発電などの再生可能エネルギー電源の導入拡大が進んでいる。一方で課題となるのが天候に大きく左右される出力の予測や制御だ。日本気象協会では以前から提供している日射量予測サービスなどの高性能化を推進し、電力会社や発電事業者の発電量の予測ニーズを取り込んでいきたい考えだ。さらに電力の需要予測サービスの開発も進めていくとしている。

 日本気象協会ではさまざまな分野のデータ提供・解析サービスを提供している。特に太陽光発電の出力予測などに役立つサービスとして提供しているのが「SOLASAT(ソラサット)」シリーズである。2016年5月には気象衛星「ひまわり8号」の気象観測データをもとにした日射量予測する「SOLASAT 8-Now」の提供を開始した。 

 気象衛星ひまわりは最新の8号の運用が2015年7月から始まった。SOLASAT 8-Nowはこの最新のひまわり8号による観測データを活用することで、従来より予測データの高精度化を図ったのが特徴のサービスだ(図1)。

 従来のひまわり7号のデータを活用していたサービスの空間分解能は1キロメートルで、更新間隔は30分。実データからの遅延も30分あった。しかし最新版では1平方メートル当たりの日射量を空間分解能500メートル、更新頻度2分半の精度で予測できる。データ提供の時間も半分以下になり、観測から10〜15分後に提供できるという。

 今後はひまわり8号の観測データを他のサービスにも提供する計画で、2016年夏には数時間先まで日射量予測が行える新サービス「SOLASAT 8-Nowcast」をリリースする計画だという。

気象モデルを活用した予測サービスも

 日本気象協会が提供するもう1種類の気象予測データサービスが「SYNFOS(シンフォス)」シリーズだ。こちらは気象衛星のデータではなく、日本気象協会が開発した気象モデルを活用して降水力や風、気温などを予測する。日々の天気予報などにも活用されているサービスだ。SOLASAT 8-Nowがリアルタイムに近い予測を得意とするのに対し、こちらは数日から1週間先の予測精度に優れる。

 同協会は2016年4月にこの気象モデルを活用した日射量予測サービスとして「SYNFOS-solar 1kmメッシュ」の提供を開始した。最大72時間先まで30分ごとの日射量を全国1km(キロメートル)メッシュ(1km四方単位)で予測できるのが特徴のサービスだ(図2)。従来より20%精度を高めた。今後はさらなる高精度化に加え、建物の屋上などに分散配置された太陽光発電設備の出力予測や、太陽光発電の自家消費分も考慮した電力需要予測、スマートグリッドなどへの適用も提案していく計画だという。

電力需要予測サービスを開発

 これまで紹介したサービスは、太陽光発電などの出力予測や需給調整計画に役立つ“予測データ”のサービスだ。しかし、日本気象協会では電力需要を直接予測できる次世代サービスの開発にも着手しているという。

 その1つが同協会独自の人工知能エンジンを活用したもので、気象モデルや発電設備から取得したデータなどを解析して電力需要を予想する(図3)。既に大手新電力に採用されており、間もなく運用が始まる段階だという。今後は電力会社や新電力向けに展開していく計画だ。


 日本気象協会 環境・エネルギー事業部 副部長の小玉亮氏は、さらに将来を見据えたサービスとして「気象現象の変化とそれに伴う再生可能エネルギーによる発電設備の出力変動の大きさによって、必要な火力発電の予備力も変わり、それにより電力の価格も変化する。こうした気象現象の変化が与える電力価格への影響を予測するサービスの開発も目指していきたい」と述べる。

 また日本気象協会のエネルギー事業の目指す方針について「こうした予測サービスの提供によって、社会的な電力需給調整のコスト削減に貢献していきたい。これにより火力発電による予備力を大きく削減できれば電気料金を安くすることができる。さらに再生可能エネルギーの導入量拡大にも貢献できると考えており、今後も開発を進めていきたい」と語っている。


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