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三菱自のPHEVシステムをルノー日産が標準採用、アライアンスでコスト低...

2016/11/1 IT media

三菱自のPHEVシステムをルノー日産が標準採用、アライアンスでコスト低減へ (齊藤由希,[MONOist])

 三菱自動車は2016年10月20日、東京都内で会見を開き、日産自動車からの出資が完了してルノー・日産アライアンスの一員となったことを発表した。三菱自側からの要請により、日産 CEOのカルロス・ゴーン氏は三菱自の会長を兼務する。他にも日産の3人が三菱自の取締役に就き、三菱自が透明性を持った経営を行っているか確かめる。軽自動車の燃費不正に端を発する一連の問題は「(三菱自の社長である)益子氏が責任を負う範囲」(ゴーン氏)とし、三菱自の独立した経営を維持する。

 ルノー・日産アライアンスに三菱自が加わることにより、2016年度のグローバル販売台数はVolkswagenやトヨタ自動車と並ぶ1000万台に達する見込みだ。今後、日産と三菱自は共同購買、工場やプラットフォームの共有などで協力し、2017年度に日産は約240億円、三菱自は250億円以上のシナジーの創出を見込んでいる。

日産自動車のカルロス・ゴーン氏(左)と三菱自動車の益子修氏(右)

三菱の役員体制はこうなる

益子氏は社長に留任した。ゴーン氏が「アライアンスに必要」と説得した

 日産は三菱自に2370億円を出資し、発行済み株式の34%を取得した。三菱商事や三菱東京UFJ銀行、三菱重工業も引き続き株主として残る。

 三菱自からの要請に応え、また、アライアンス戦略の一環で、日産の経営幹部が三菱自の役員に加わり体制を強化する。なお、既に日産 取締役会 技術顧問の山下光彦氏が三菱自 開発担当副社長を務め、改革を推進している。

 三菱自の経営に加わるメンバーは次の通り。三菱自 取締役会長兼取締役社長 CEOの益子修氏は会長職を外れるが社長に留任した。

  • 日産 取締役会長兼社長(代表取締役) CEOのカルロス・ゴーン氏=三菱自の取締役会長(代表取締役)を兼務
  • 日産 CPO(チーフパフォーマンスオフィサー)のトレバー・マン氏=三菱自のCOOに就任
  • 日産 専務執行役員 CFO(チーフサステナビリティオフィサー)の川口均氏=三菱自の取締役
  • 日産 常務執行役員の軽部博氏=三菱自の取締役

 これに伴い、日産の役員体制も変更となる。ゴーン氏は「自分が益子氏の支援に割く時間が増える中で日産に対する注意をそらさないため」(ゴーン氏)に、日産に共同CEOを置き、日産 副会長でCCO(チーフコンペティティブオフィサー)を務める西川廣人氏が就任する。

 日産から人材を派遣する理由について、ゴーン氏は「三菱自に透明性があることを確認し、アライアンスが有効であることを確かめるため。ビジネスのマネジメントに力を発揮できるように、必要なスキルや人材を提供するのであって、山下氏以外は実際のオペレーションには関与しない。これらの人材は日産としても貴重だが、三菱自の要請に応えるために提供する」と説明。

 また、燃費不正問題については「三菱自の問題」(益子氏)だとし、独自でブランドを維持するために自力での信頼回復に努める。

日産が三菱自と組むメリット

「日産にメリットがあるから三菱自を支援する」と話すゴーン氏

 会見で、益子氏とゴーン氏はシナジーを追求する主な範囲として以下の項目を挙げた。また、ゴーン氏は三菱自のプラグインハイブリッド(PHEV)システムをルノー・日産のアライアンス標準として採用することを明らかにしている。益子氏は、量産効果によるプラグインハイブリッドシステムのコスト低減が見込めると述べた。

  • 部材の共同購買
  • 現地化の徹底
  • 工場の共用
  • プラットフォームの共通化
  • 自動運転技術の共同開発
  • ASEAN市場の強化
  • オートローンやリースなど金融分野

 これにより、三菱自はアライアンス1年目から250億円以上のシナジー効果を見込んでいる。営業利益率は1年目に1%、2年目に2%、3年目に2%以上の改善を見込んでいる。また、日産としても、これらのシナジーは営業利益の改善につながる。シナジー額は2017年に240億円、2018年度に600億円と予測している。

 ゴーン氏は、日産が三菱自と組むことで得られるメリットのうち、上述のシナジーの創出は短期間で享受できるものにすぎないという。「まだ検討していないシナジーもある。部品やアクセサリー、アフターセールスも可能性がある。また、海外市場については、シナジーが明確なASEANを優先するが、北米や欧州、中東などでの協力もあり得る。ルノーと三菱自のシナジーも創出していく」(ゴーン氏)。

 また、「アライアンスがもたらす恩恵は、日産がルノーと成し遂げたことで分かっている。ルノー・日産は2015年に43億ユーロ(約4860億円)のシナジーを創出した。2018年には55億ユーロ(約6200億円)に拡大する見通しだ。三菱自がアライアンスの一員として力をつければ投資価値とリターンをもたらす。そのためにも日産は三菱自の経営強化を支援する」(ゴーン氏)と日産としての狙いを説明した。

 ルノーと日産のコスト低減に貢献している取り組みの1つが、プラットフォームをモジュール化する「コモン・モジュール・ファミリー(CMF)」だ。日産の「ローグ」「キャシュカイ」「エクストレイル」やルノーの「エスパス」「カジャール」「メガーヌ」「タリスマン」で既に採用されている。

 2015年にはルノーがインド向けに発売した「クウィッド」で、2016年半ばにはダットサン「redi-Go」でCMFが採用されている。2020年までにモデルの70%をCMFアーキテクチャで開発する方針だ。この他にも、ルノー・日産では両社とロシアのアフトワズも含めて生産拠点を活用した相互生産を行い、シナジーを創出している。アライアンスの一員として、三菱自のクルマづくりは大きく変わっていきそうだ。


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