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ワイヤレス給電可能な電動バスが公道へ、まめな充電で航続距離をカバー (...

ワイヤレス給電可能な電動バスが公道へ、まめな充電で航続距離をカバー (陰山遼将,[スマートジャパン])

 早稲田大学と東芝の研究グループは、遠隔給電が可能なワイヤレス充電装置を搭載したバッテリー駆動の電動バス「WEB-3 Advanced」の開発に成功したと発表した(図1)。

 2016年2月1日から川崎市、全日本空輸の協力を得て、国際戦略総合特区である川崎市殿町のキングスカイフロント地区および羽田空港周辺地域での公道実証走行試験も開始している。

図1 開発した「WEB-3 Advanced」出典:早稲田大学

 こうした電動バスを含む電気自動車の普及に向けた課題の1つが、バッテリーの問題だ。重い車両を動かし、実用的な航続距離を確保するためにはある程度のバッテリー容量が必要になる。しかしそれに伴いコスト、そして車重も増えてしまう。

 そこでWEB-3 Advancedは、バッテリーの搭載量を最小限に抑え、バスターミナルに戻ってくるたびに充電することで航続距離の問題をカバーするという「短距離走行・高頻度充電」というコンセプトに基づいて開発されているのが特徴だ。

 東芝製の容量40kWh(キロワット時)のリチウムイオンバッテリーを搭載し、コンセプト通り最大航続距離は約50キロメートルと短めになっている。外形寸法は長さ6.99×幅2.08×高さ3.10メートル、乗車定員は31人、車重は約6トン。小型バスくらいの大きさだ。

東芝が新開発した磁界共鳴型ワイヤレス充電装置を搭載

 バッテリー容量を抑え、走行距離の短さは充電頻度でカバーするというコンセプトのWEB-3 Advanced。しかし一般的な電気自動車のように、バスターミナルに戻ってくるたびに充電ケーブルを差し込むというのは煩わしい。そこで活躍するのがワイヤレス給電装置だ。東芝が今回の共同研究事業において新規開発した「磁界共鳴型ワイヤレス充電装置」を搭載している(図2)。

図2 東芝が開発した磁界共鳴型ワイヤレス充電装置。写真は車載側のもの 出典:早稲田大学

 バッテリーを小型化してワイヤレス給電装置を組み合わせるというコンセプトによって空車重量と車両初期コストの削減、車室空間の確保を実現した。ワイヤレス給電は運転席に設置したボタンを操作するだけで行えるという。

 既に開始している公道での実証走行では、普及のポイントとなる充電作業の利便性とともに、CO2削減効果や乗車環境の改善効果などについても検証していく。今回のWEB-3 Advancedの開発および公道での実証走行は、環境省が実施する「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」に早稲田大学と東芝が採択され行っているもので、実証期間は2014〜2016年度まで。これに伴い公道での実証走行期間も2016年度末までとなる予定だ。

 なお早稲田大学は2002年からこうした電動バスの研究開発に取り組んでいる。WEB-3 Advancedの「WEB」は「Waseda Electric Bus」の略称だ。過去にはWEB-3 Advancedの先代モデルなどを利用して、長野県でも走行実証を行っている(図3)。

図3 長野県での走行実証に利用した「WEB-3」。車両の色も早稲田カラー 出典:早稲田大学


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