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ルネサス、PCだけでMCUの初期評価ができるツール (竹本達哉,[EE...

ルネサス、PCだけでMCUの初期評価ができるツール (竹本達哉,[EE Times Japan])

「他にないツール」

 マイコンを使用した機器開発では、最も初期段階で、どのメーカーのどのマイコンを採用するかを決める「初期評価」が必要になる。初期評価では、想定する機能/性能を、任意の消費電力/コスト範囲で実現できるかどうかの確認が主に行われる。まずは、マイコンメーカーが公開しているスペックシートなどを検討し、所望のスペックを備えていると思われる候補製品を数種に絞る。その後、候補製品のスターターキットを手に入れ、サンプルコードや手元にある既存コードをマイコン上で動作させ、性能や消費電流の状態を見て、開発に使用できるか判断することになる。

 この場合、マイコン搭載ボード/サンプルコードなどが同梱されたスターターキットを手に入れるためには、1〜2万円の費用と、2〜3日程度の時間を要する。また、初期評価には、メーカーやマイコンごとに異なる統合開発環境やエミュレーター、さらにはオシロスコープなども必要になる。

 「これまでルネサス製マイコンになじみがないユーザーにとっては、ルネサスのマイコンに興味を持っても、初期評価するには、ハードルが高かった。もっと気軽にルネサスのマイコンを試すことができるようにしたかった」(同社汎用第一事業部汎用ソリューション部長 溝口誠氏)という狙いで構築したのが、仮想開発環境「Webシミュレータ」だ。

従来のマイコン初期評価の流れ(右)と、「Webシミュレータ」を使用した初期評価の流れ 出典:ルネサス エレクトロニクス

スターターキットをPC上に再現

 Webシミュレータは、PC/クラウド上に初期評価に必要な要素を全て再現するもの。評価用ボード自体を仮想モデル化し、PC/クラウド上の統合開発環境を使って実機さながらに動作させることができる。マイコン上に走らせるソフトウェアは、ルネサスが提供するサンプルコードだけでなく、ユーザー自らが開発したプログラムにも対応。さらに、評価ボードに実装されているスイッチ入力、LED出力、ポテンショメーター入力などのI/Oも動く。

「Webシミュレータ」の特長(左)とメリット 出典:ルネサス エレクトロニクス
「Webシミュレータ」の特長(左)とメリット 出典:ルネサス エレクトロニクス

消費電流を手軽に見積もるツールも

 初期評価に欠かせない消費電流の計測も、「消費電流シミュレータ」機能により、プログラムステップごとに算出、把握可能。バッテリー寿命の算出機能も備える。

「Webシミュレータ」の仮想ボードシミュレータ機能と消費電流シミュレータ機能の概要 出典:ルネサス エレクトロニクス

 実際のプログラムを動作させた場合の消費電流だけでなく、各周辺機能の動作条件などをGUIで入力設定するだけでプログラムなしに消費電流の見積もりが行える「消費電流計算ツール」も用意している。

消費電流計算ツールの概要 出典:ルネサス エレクトロニクス

 これら機能を備えたWebシミュレータは、同社Webサイトで無償で公開する(ユーザー登録は必要)。

 溝口氏は「これまでアナログ半導体分野では、PC/クラウド上で性能や消費電力をシミュレーションできるツールが提供されてきた。ただ、マイコンに限っては、そうしたツールがなく、Webシミュレータが初めてだろう。費用、時間を掛けずにマイコンを試すことのできるWebシミュレータを展開していくことで、新規ユーザーの取り込みを図りたい」とする。

あらゆるマイコンに対応広げる方針

 ルネサスでは、まず、汎用性の高いマイコン製品である「RL78/G13」に対応したWebシミュレータを用意。2月10日から、同マイコン対応のブラウザベースで動作するクラウド版消費電流計算ツールとダウンロード版Webシミュレータを公開。今後、3カ月後をメドに、クラウド版Webシミュレータを公開する他、2017年3月末までに、「RL78/G14」「RL78/G10」「RX100」に対応したWebシミュレータ/消費電流計算ツールを開発、公開していく方針。「将来的には、RZファミリーなども含め、あらゆるスターターキットのWebシミュレータ版を用意し、試しやすい環境を提供したい」(溝口氏)としている。


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